論証集~刑法各論2~業務上過失致死・遺棄・堕胎

この記事の所要時間: 147

論証集  刑法各論

業務上過失致死・遺棄・堕胎

●業務上過失致死傷罪
業務の意義
業務とは、社会生活上の地位に基づき、反復継続してなされる、人の生命・身体に対する危険性を有する行為をいう。
加重処罰の根拠
この点、業務者であるからといって注意能力が高いわけではない。
そこで、業務上致死傷罪の加重根拠は、一定の危険な業務に従事する業務者に通常人よりも重い注意義務が課されている点に求められると解する。

●堕胎罪
意義
自然の分娩期に先立って人為的に胎児を母体から分離・排出させることをいう。胎児が死亡すると否とは犯罪の成否に影響がない。
したがって、堕胎した後に嬰児を殺害した場合には、堕胎罪と殺人罪の2罪が成立し両者は併合罪となる。

●遺棄罪
遺棄の概念
単純遺棄罪(217)の「遺棄」は、被遺棄者を危険な場所に移転(移置)すること。
保護責任者遺棄罪の「遺棄」は、被遺棄者との場所的離隔を生じさせるすべての場合をいい、移置のほか、置き去り(危険な場所に遺留したまま立ち去る行為)を含む。
「不保護」は、場所的離隔を伴わないで、生存に必要な保護をしない場合を意味する。(通説)
判例も一方で負傷者の置き去りにつき保護責任者遺棄罪の成立を認め、他方で、置き去りを単純遺棄罪として処罰した例がないことから通説と同様の立場をとるものと理解されている。

法的性格
そもそも、遺棄罪は、生命・身体に対する危険惹起が処罰の根拠であり、遺棄・不保護はかかる危険が一般的・類型的に認められる行為態様であるがゆえに処罰の対象とされている。
とすれば、本罪が成立するために要求される危険の程度は、一般的・類型的な危険で足りる(抽象的危険犯 [7])。
もっとも、およそ危険がない場合には、「遺棄」「不保護」には該当しないものと考える [8]。

保護責任者の意義
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者。
保護責任の根拠は、法令、契約、事務管理、慣習、条理等に求められ、不真正不作為犯の作為義務の根拠として述べたことが概ね妥当する。

フォローする