論証集~民法総則3~法律行為・心理留保

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論証集~民法総則3~法律行為・心理留保

法律行為

●法律行為
当事者の意思に基づいて法的な効果が認められる行為のことをいう。

●動機が不法な法律行為の効力
取引の安全と違法行為抑制との調和の観点から、動機が法律行為の内容として表示された場合に限り、当該法律行為を90条違反として無効とすべきである。

●準法律行為と意思表示
・意思表示
一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表現する行為
①無権代理の追認・拒絶(113)
②取消、解除、遺言等
③時効完成の援用(145)

・意思の通知
自己の意思を他人に通知する私法上の行為→法律効果の発生を内容としない
①催告(20、114、153、541等)
②弁済受領の拒絶(494)

・観念の通知
ある事実を通知する私法上の通知→事実の通知であり、意思の発表という要素を含まない
①代理権授与表示(109)
②時効中断事由の承認(156)
③指名債権譲渡の通知・承諾(467)

心裡留保

心裡留保とは、真意でない意思表示であって、表意者が表示と真意の不一致を認識している場合をいう。

●悪意・有過失の立証責任
意思表示の無効を主張する者にある。

●相手方からの無効主張の可否
93条但書は表意者保護のためにあるので、相手方からの無効主張は認められないと考える。

●第三者に無効を対抗することの可否
心裡留保により行われた意思表示につき、相手方が悪意または有過失であったとき、この意思表示によって形成された法律関係を基礎として、新たに第三者が関与してくる場合がある(たとえば、相手方からの転得者)。この第三者が心裡留保につき善意であれば、たとえ表意者の相手方に悪意又は過失があったとしても、表意者は、この善意の第三者に対して93条但書による契約の無効を主張できない(94Ⅱ類推)。

●適用範囲
単独行為への93条の適用の可否
単独行為(一方的な意思表示)についても―相手方のある意思表示(取消・契約解除・債務免除など)でも、相手方のない意思表示(広告・遺言・寄付行為など)でも―適用される。ただ、「相手方のない意思表示」は、相手方がないのだから、93条但書の適用はないと考えられる(我妻説)。

●身分行為への93条の適用の可否
当事者の真意が必要とされる身分行為には適用がない。

●93条但書の類推適用
・代理権・代表権の濫用
代理人が売買代金を横領するために売買契約を締結した。売買契約の締結自体は代理権の範囲内なので原則として契約は有効である。
しかし、相手方が代理人の濫用意図を知っていた場合にまで有効とすると本人を害するので、保護のための法律構成が問題となる。
この点、取引の相手方が濫用意図につき悪意・重過失であれば本人に履行請求することは信義則(1Ⅱ)に反するとする見解もあるが、一般条項を安易に使うべきではない。思うに、このような場合、内心的効果意思と表示の間に不一致はないが、経済的効果を自己に帰属させようとする内心と表示との間に不一致があり、93条の類推の基礎がある。よって、93条を類推適用して、相手方が濫用意図につき悪意・有過失であれば契約は無効と解する(判例)。

(親権者の代理権濫用の場合も同様)

・本人をだますために代理人と相手方が通謀した場合
代理人が横領金をごまかすために第三者と通謀して消費貸借契約を締結した。この点、代理行為の意思は代理人によって決せられるので(101Ⅰ)原則として契約は通謀虚偽表示(94Ⅰ)として無効である。しかし、これでは契約を有効と信頼した本人を害するので、保護のための法律構成が問題となる。
この点、代理人に本人をあざむく権限はない以上、この場合において、代理人は相手方の意思伝達機関としての使者にすぎない。したがって、代理人の本人に対する意思表示は相手方の本人に対する心裡留保(93)であるから、本人が相手方の真意につき善意・無過失であれば有効となると解する(判例)。

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