論証集~民法債権総論1~種類債権

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論証集 民法 債権総論

種類債権の特定

●特定の要件(401Ⅱ)
・ 持参債務→現実の提供
・ 取立債務→準備・分離・通知
・ 送付債務→履行地に送付され、現実の提供がなされたとき。ただし、好意送付の場合は発送時。

●特定の効果
・ その物を引渡せば足り(483)、履行不能が生じうる
・ 危険の移転(534Ⅱ)
・ 調達義務から善管注意義務へ(400)
・ 特約なき限り、所有権が移転(最判昭35.6.24)

●「給付をするのに必要な行為」の意義
「給付をするのに必要な行為」(401Ⅱ)の意義が明文上明らかでなく問題となる。
思うに、同条項の趣旨は無限の調達義務から債務者を開放する点にある。とすれば、「給付をするのに必要な行為」とは債務者が負担軽減の利益を受けるに足りる行為、すなわち、債務者としてなすべきことをなした場合をいうと解する。

ⅰ 持参債務の場合はかかる債務は債権者の住所で履行する債務だから現実の提供が必要と解する。
ⅱ 取立債務の場合は準備と通知のみならず履行の対象を明確にするため分離が必要と解する。
ⅲ 瑕疵ある物での提供では債務者としてなすべきことをなしたといえないので「給付を為すに必要なる行為」とはいえないと解する。

●債権者からの変更請求
種類債権が特定後、債務者の帰責性により目的物が滅失・毀損した場合に、債権者は変更を請求しうるか。
確かに、特定後はその物のみが履行の対象となる(483)のだから、債務者は特定したものを引き渡す債務のみを負い、それが不可能であれば履行不能の問題となる。しかし、債務者にとって同種のものが給付可能であれば、それを認めることが取引通念にかなう。そこで、信義則上、債権者からの変更請求は認められると解する。

●変更権の有無
種類債権が特定後、債務者の帰責性により目的物が滅失した場合、損害賠償債務を免れるため、変更権を行使できるか。
確かに、特定後はその物のみが履行の対象となる(483)のだから、任意に他の物に変更し得ないのが原則である。
しかし、種類債権は物の個性に重きをおかない債権であり、債権者は変更によって基本的に不利益を受けない。他方、特定は種類債権を履行するための手段に過ぎないし、その趣旨は債務者保護にある。よって、債権者に特段の不利益がない場合は、信義則(1Ⅱ)上変更権が認められると解する(判例)。

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