論証集~民法債権総論4~損害賠償

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論証集 民法 債権総論

損害賠償

●損害賠償の範囲
いかなる範囲で損害賠償請求が認められるか、416条の解釈が問題となる。この点、416条の趣旨は損害の公平な分担を図る点にある。
かかる趣旨を受けて、1項は損害を相当因果関係の範囲にある通常損害に限定して損害の公平な分担を図り、他方、2項は特別事情に基づく特別損害は債務者が予見可能な場合に限定して、損害の公平な分担を図っている。なお、予見可能性の判断は債務不履行の時点とされている。

損害賠償算定の基準時
履行期以後に目的物の価格に変動が生じた場合、損害賠償の算定はどの時点を基準とすべきか。この点、損害賠償請求権は債務不履行時に発生するのであるから、原則として債務不履行時を基準として算定すべきと解する。そして、履行期以後に目的物の価格が上昇した場合は特別事情に基づく特別損害として処理すればよいと考える。具体的には、上昇価格分については債務者が価格の上昇を予見しまたは予見可能である場合には請求しうると解する。また、中間最高価格の場合は、その最高価格の時点で債権者が転売したであろうことを債務者が予見可能である場合に請求しうると解する。

損益相殺
債務不履行によって債権者が損害と同時に利益をも得た場合に、その利益を損害賠償額から減額すべきではないか。この点、損害賠償制度は損害の公平な分担を図る制度である。そこで、公平の観点から、債権者が損害と同時に利益をも得た場合には、その利益を賠償額から控除すべきと解する(536Ⅱ参照)。

●損害賠償額の予定と過失相殺
損害賠償額の予定(420)がなされた場合に、債権者にも過失がある場合、過失相殺(418)はなされるか。
この点、損害賠償額の予定は、損害の発生及びその金額の立証を不要にする合意に過ぎず、過失相殺を排除する趣旨ではない。
そこで、過失相殺(420)はなされると解する。

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