レポート集~商法総則~外観主義

レポート集~商法総則~外観主義

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レポート集  商法総則

「外観主義」について述べよ。

<↓こちらのレジュメも参考にして下さい。>

学説判例研究~商法~外観主義(権利外観法理)
商法レジュメ 外観主義 権利外観法理 外観主義とは 真実に反する外観が存在する場合に、その外観を作り出した者は、これを信頼した者に対して責任を負わな...

わが国の商法は基本的理念として「外観主義」を採用している。これは表示された事実と真実とが一致しない場合、外観を作り出した者はその表示を信頼した者に対して責任を負わなければならないとするものである。具体的な制度としては、不実登記や名板貸責任が挙げられる。

(1)不実登記

登記はある事実を公示するもので、その記載は常に真実であるべきである。しかし、現行法において登記官は形式的審査権しか有しないし、登記申請者が実体的真実を登記しているとも限らない。事実でなくても登記される危険性が高いうえ、第三者はそれを信頼する可能性が高いのである。これでは事実でない登記を信頼した者が不測の損害を被る恐れがある。そこで商法9条2項は故意または過失により不実の事項を登記した者は、その事実が不実であることをもって、善意の第三者に対抗することはできないと規定している。また、会社の登記に関して会社法908条2項は、商法9条2項と同趣旨のことを定めている。これらは、登記した事実を信頼した「外観信頼者」を保護することを意図したものである。
商法9条2項が適用されるためには次の要件が必要となる。第一に、登記申請者による申請だということである。ただし、登記申請者の申請に基づかない場合であっても、登記申請者が不実の登記の実現に加担したり、不実の登記の存在が判明しているのに関わらず、その是正措置を講ずることなく放置しているようなときは、登記申請者の登記申請と同視される。
第2に、登記申請者に故意または過失があるということである。登記申請者が不実であることを知っているか、あるいは知り得たにも関わらず登記をすることである。登記官の過誤や申請権限のない者による不実登記は、商法9条2項の対象とならない。
第3に、不実の事項を登記したことである。不実とは事実と合致しないことである。登記が積極的にされたものであるか、消極的なものであるかは問わない。
ところで、商法9条2項は外観信頼者を保護することを目的としており、登記を信頼していない第三者は保護しない。第三者が登記事項について不実であることを知らなかった善意の場合にのみ保護されるのである。不実を知り得えた点で過失がある第三者の保護については、商法9条2項の目的は外観の信頼保護にあるから、この者についても保護している。

(2)名板貸責任
わが国の商法は、商人がいかなる名称を商号とするかは、一定の例外を除いてその商人の自由な判断に委ねている(商法11条1項、会社法6条1項)。 これを商号選択自由の原則というが、商人が自己の商号をして営業をなすことを他人に許諾することも可能である。このような商号貸与は名板貸という。
名義を借りた名板借人は、取引で生じた一切の債務について自身が責任を負うことは当然である。しかし、名板貸による営業では、取引の相手方は、名義を貸した名板貸人を営業主であると誤信して取引することがあり、不測の損害を与える可能性がある。
そこで、取引の安全をはかるために商法14条は、名板貸人にも名板借人と連帯して取引上の債務の弁済責任を負わせている(会社法では9条で規定している)。 前述した不実登記と同様に、外観信頼者を保護しようとするものである。
名板貸人の責任が肯定されるには次の要件が必要である。はじめに、商号の使用により名義人が名板借人の営業の主体であると認められる外観の存在。また、名板貸人が自己の商号を使用して営業することを許諾していること。取引の相手方が外観から名板貸人を営業主と誤認して取引したこと。そして、取引上の債務の存在が必要となる。以上の要件を具備することで、名板貸人は、取引によって生じた債務について、名板借人と連帯して弁済の債務を負うのである。
ここまで述べたように、商法や会社法は、取引の安全を図るべく、外観信頼者を保護している。<1585字>

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