論証集~行政救済法3~処分性

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論証集  行政救済法

処分性

●行政処分の効力発生時期
行政処分の効力が生じるのは、特別の規定のない限り、意思表示の一般法理に従い、その意思表示が相手方に到達した時と解すべきである。そして、相手方に到達した時とは、相手方が現実に了知し、また相手方の了知しうべき状態におかれた時と解する(最判昭和29年8月24日参照)。
では、被処分者が所在不明となったような場合はどうか。この点については、法令の定めがあればその定めによることになるが、特別の規定がない場合には、民法98条の公示送達の方法が可能である(最判平成11年7月15日参照)。

●処分性
取消訴訟の対象となるのは「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」すなわち「処分」であるが(行訴法3条2項)、「処分」の意義及びその具体的な判断基準、考慮要素が問題となる。
まず、意義について、処分とは、行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁s39.10.29 百Ⅱ156ごみ焼却場設置事件判決)。
次に処分に当たるか否かについての具体的な判断基準については、①公権力性があるか、(優越的地位の発動として一方的に行われるものであるか)、②特定の者に対して直接・具体的な法的効果を発生させるか、③紛争の成熟性、具体性があるか、という観点から検討すべきである。
処分性の有無を判断する考慮要素としては、①その行為が法律関係を一方的に変動させる法律の仕組みになっているか、②実効的な権利救済ができるか、④行政手続法の不利益処分に関する定めが適用除外とされているか(∵行手法は、当該行為が行政処分であることを前提としているのだから、あえて行手法の適用除外とする以上、法は当該行為を行政処分と考えている)、⑤国税、地方税の滞納処分に関する規定の準用があるか(∵民法上のものと考えるならば、費用の徴収は民訴法のルートで行うはず)、⑥審査請求・異議申立に関する規定の有無(∵行審法4条の「行政庁の処分」は、行訴法の処分性と同じものと考えられている)、⑦事実行為か法律行為か。
もっとも、今日、行政主体と国民との相互関係においては、厳密には行政行為としての性質を持たない行為が重要な機能を果たすことがあり、これらの行為相互の関係である法的仕組みを解釈した場合、各行為が、その一つ一つを見たのでは把握し切れない、新たな意味と機能を持つようになっている。
そこで、上記処分性の意義を機械的にあてはめ、処分に該当しない場合であっても、当該法的仕組みを解釈すれば、①国民の法的地位に直接的な影響が生ずるものであり、かつ、②その後に行われるであろう行政処分の違法性を争ったのでは救済の実効性が図れない場合には、例外として処分性を認めるべきである(最高裁H17.10.25参照)

●処分性拡大の不都合性の処理
処分性の拡大論は、従来、公定力を持たなかった行政活動に公定力を認める危険性にも留意する必要がある。
すなわち、勧告等の行政は、理論的に厳密な意味での公定力を有するものではないが、これを取消訴訟の対象とした場合、取消訴訟の排他的管轄に伴う遮断効(公定力)を否定できないものと考えられる。
このような取扱いは、国民に不測の不利益をもたらしかねないため、必要に応じ、行訴法46条に定める行政庁の教示義務、出訴期間等徒過についての「正当な理由」(行訴法14条1項、2項但書)等の活用がなされることにより対処する必要があると考える。

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