論証集~行政救済法6~不作為の違法確認訴訟・差止め

この記事の所要時間: 39

論証集  行政救済法

不作為の違法確認訴訟

不作為の違法確認訴訟とは

不作為の違法確認訴訟とは、私人が行政庁に対して法令に基づく申請をしたにも関わらず、行政庁が処分又は裁決をしないことの違法確認を求める訴訟である(行訴法3条5項)。
行政庁が私人の申請に応答すべきであるのにこれをしない場合には、処分又は裁決が存在しない以上、取消訴訟等による救済は不可能である。そこで、取消訴訟等ではない救済されない申請人を救済するために、不作為の違法確認訴訟が設けられた。
不作為の違法確認訴訟の要件は、行政庁が①法令に基づく申請に対し、②相当な期間内に、③何らかの処分又は裁決をしないことである(行訴法3条5項)。そして、④処分又は裁決についての申請をした者に原告適格がある(行訴法37条)。また、行訴法9条は準用されていないが、原告に「法律上の利益」は必要と解される。それ故、不作為の違法確認訴訟提起後、行政庁がその処分・裁決をした場合には、訴えの利益が消滅して却下される。申請拒否処分がなされた場合には、不作為の違法確認訴訟を拒否処分の取消訴訟に訴え変更して(7条、民訴法143条)、訴訟を継続できる。
①について、申請権は法令の明文で規定されている必要はなく、法令の解釈上原告の申請権は認められればよい。
②について、処分をなすのに通常必要とする期間を基準として判断する。そして、通常必要とする期間を経過した場合には原則として違法となる。もっとも、期間の経過を正当化する特段の事情がある場合には、例外的に違法とならない。(東京地裁s39.11.4  仙台地裁H10.1.27参照)
④について、現実に申請した者であればよく、申請の適法・不適法は問わない。

差し止め訴訟

差止訴訟の要件

差止訴訟とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにもかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう(行訴法3条7項)。
差止訴訟の訴訟要件として、①「一定の処分がされようとしている」こと(処分の蓋然性)(行訴法3条7項)、②「一定の処分又は裁決」がされることにより、③「重大な損害が生ずるおそれがある場合」で、④「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」でないことが必要である(行訴法37条の4第1項)。さらに、⑤差止を求めるにつき「法律上の利益」を有する者に限り提起することができる(行訴法37条の4第3項)。
②「一定の処分又は裁決」といえるためには、裁判所の判断が可能な程度に特定されている必要がある(加点を狙うべく必ず書く)
③「重大な損害」は、処分がなされた後に取消訴訟の提起と執行停止の申立ての手段を採っても十分な救済が図れない場合に認められると考える(厳格説 大阪地裁H18.1.13、広島地裁H21.10.1参照)。
また、③「重大な損害」の判断に際しては、「損害の回復の困難の程度」を考慮し、「損害の性質及び程度」、「処分又は裁決の内容及び性質」をも勘案される(行訴法37条の4第2項)。(分析的に書く)
④「その損害を避けるため他に適当な方法があるとき」でないことについては、行政過程において、特別の救済ルート(ex:ある処分に前提となる処分が存在し、前提処分の取消訴訟を提起すれば後続処分の続行ができないことが法令によって定められている場合:国税徴収法90条3項等)が法定されていない場合をいい、第三者に対する民事訴訟の提起が可能であることをもって、この要件の不充足とすることはできない。
⑤「法律上の利益」の有無の判断に際しては、取消訴訟の原告適格を実質的に拡大する趣旨で設けられた9条2項が準用される(行訴法37条の4第4項)。

フォローする