論証集~行政救済法7~義務付け訴訟・当事者訴訟

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論証集  行政救済法

義務付け訴訟

●非申請型義務付訴訟の要件
非申請型訴訟とは、行政庁が一定の処分をすべきであるにもかかわらずこれがされない場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう(行訴法3条6項1号)。
非申請型義務付訴訟の訴訟要件として、①「一定の処分」がされないことにより、②「重大な損害が生ずるおそれがある場合」で、③「その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」であることが必要である(行訴法37条の2第1項)。さらに、④義務付けを求めるにつき「法律上の利益」を有する者に限り提起することができる(行訴法37条の2第3項)。
①「一定の処分」といえるためには、裁判所の判断が可能な程度に特定されている必要があり、特定の程度は、当該処分の根拠法令及び社会通念に照らし判断すべきである。(加点を狙うべく必ず書く)
②「重大な損害」の判断に際しては、「損害の回復の困難の程度」を考慮し、「損害の性質及び程度」、「処分又は裁決の内容及び性質」をも勘案される(行訴法37条の2第2項)(→「損害の回復の困難の程度」は要考慮事項になっているが、回復困難な損害とはいえなくても、損害の性質及び程度並びに処分の内容の性質を勘案して「重大な損害」が認められる余地がある。)
③「その損害を避けるため他に適当な方法がないとき」については、行政過程において、特別の救済ルートが法定されていない場合をいい、第三者に対する民事訴訟の提起が可能であることをもって、この要件の不充足とすることはできない。
④「法律上の利益」の有無の判断に際しては、取消訴訟の原告適格を実質的に拡大する趣旨で設けられた9条2項が準用される(行訴法37条の4第4項)。

●申請型義務付け訴訟の要件
申請型義務付け訴訟(3条6項2号)が認められるためには、①法令に基づく申請がなされたこと、②相当の期間が経過したこと、③原告適格(37条の3第2項)、④不作為の違法確認訴訟等との併合提起が必要である。
①について、申請権は法令の明文で規定されている必要はなく、法令の解釈上原告の申請権は認められればよい。
②については、行政庁が当該行政処分を行うのに通常必要とする期間をいう。そして、標準処理期間(行手法6条)が設定されている場合、これは努力義務であるから、この期間の経過をもって直ちに違法となるとは解されないが、「相当の期間」の判断に際して考慮されるべき要素となると考えられる。
それ故、標準処理期間の徒過があれば、行政庁側は、それを適法とする合理的根拠を摘示する必要がある。
そして、「相当の期間」が経過した場合原則として違法となるが、徒過したことを正当化する特段の事情があれば違法とはならない。

●仮の義務付けの要件(東京地裁H18.1.25)
仮の義務付けが認められるためには、①義務付けの訴えの提起があった場合であり、積極要件として、②「義務付けの訴えに係る処分又は裁決がなされないことにより生ずる償うことができない損害を避けるため緊急の必要があ」ること、③「本案について理由があるとみえる」ことが必要である(行訴法37条の5第1項)。
さらに、消極要件として、④「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき」には仮の義務付けをすることはできない(行訴法37条の5第3項)。
②の償うことができない損害を避けるため緊急の必要があるとは、処分・裁決がなされないことによって被る損害が、原状回復ないし金銭賠償による填補が不能であるか又は社会通念上相当に困難であるとみられる程度に達していて、そのような損害の発生が切迫しており、社会通念上、これを避けなければならない緊急の必要性が存在する場合をいう。
もっとも、損害要件が認められる場合には、通常、緊急の必要性があると解されている。但し、申立人の個別的な事情によっては、同要件が否定される場合もあり得る。
③については、執行停止と異なり、申立人側に疎明責任がある。すなわち、執行停止におけるよりも更に厳格なものであり、仮の義務付けの裁判の段階において、積極的に、本案について理由があると認め得ることが必要である。
④については、よほどのことがない限り、同要件に該当しない。

当事者訴訟

●実質的当事者訴訟の要件
実質的当事者訴訟(4条後段)が認められるためには、確認の利益が必要である。そして、確認の利益の有無については行訴法上明文を欠くため、民事訴訟の一般原則により判断する(7条)。
すなわち、①対象選択の適否、②方法選択の適否、③即時確定の利益の有無によって確認の利益の有無を決すべきである。
①については、紛争解決の決め手となる対象であるか否かが問題となる。
②については、給付ないし形成の訴えを提起することが可能か否かが問題となる。
③については、ア)原告の法的地位に現に不安が生じていること、イ)原告被告間で争点が明確になっていること、ウ)行政過程の進行による実効的な紛争解決可能性、エ)原告の実効的な権利救済の観点から判断する。

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