レポート集~民法総則~代理行為の瑕疵の基準

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レポート集 民法総則

代理行為の瑕疵の基準について述べよ。

代理行為に瑕疵があるか否かは、代理人について決定される(民法101条)。 代理行為において、代理人が行為主体になるためである(代理人行為説)。 ただし、特定の法律行為が委託された場合において、代理人が本人の指図に従ってその行為をしたとき、本人は、自ら知っていた事情、過失によって知らなかった事情について代理人が知らなかったことを主張することはできない(101条2項)。
具体的に、代理行為の瑕疵とは、代理人と相手方との通謀虚偽行為や代理人が詐欺・脅迫された場合などが考えられる。また、意思の不存在についても瑕疵となりうるが、代理人の心理留保の場合には、代理行為は原則として有効となり(93条)、 代理人の錯誤の場合は無効となる(95条)。
1、代理人と相手方との通謀虚偽行為
代理人と相手方が本人を欺く目的で通謀した場合、善意・無過失の本人を保護する必要があるかが問題とされる。判例は、代理人は、相手方と通謀して本人を欺罔する権限を有しておらず、相手方の伝達機関にすぎないのであり、相手方の本人に対する心理留保を構成し、上記意思表示は93条により有効であると解している(大判昭和14・12・6民集14巻1490頁)。
しかし、学説においては、ここまでして行為を有効化して本人を保護する必要があるかは疑問だとして、101条1項・94条1項による原則論を主張する立場もある。これによると、代理人と相手方との間でなされた代理行為は無効となり、本人には何の効果も生じないこととなる。
2、詐欺・脅迫
代理行為について本人が詐欺や脅迫を受けても、代理人自体が詐欺や強迫を受けていなければ、行為は完全なものとなり取消し得るものとはならない。
相手方から代理人に対して詐欺が行われた場合、意思表示の瑕疵の有無は、原則として代理人について判断される(101条1項)。 また原則として、代理行為は取り消すことができる(96条1項)。 代理行為の効果は本人に帰属するため、取消権は代理人に与えられている場合を除いて、本人が有する。また、相手方から本人に対して詐欺が行われた場合、これによって代理権が授与されたときは、本人は授権行為を取り消すことができる。
代理人から相手方に対して詐欺が行われた場合、本人は代理行為の効果の帰属主体となるわけだから、96条2項の第三者の詐欺となる場合とは理解せず、同条1項の適用によって代理人の詐欺については本人の知・不知に関わらず取り消すことができる代理行為となるとするのが学説の立場である。判例は、この場合についても、101条1項の問題として相手方に取消権が認められると解している(大判明治39年3月31日民録492頁)。 なお、代理行為の相手方に対して本人が詐欺をした場合には代理人の知・不知に関係なく相手方は取消権を有することとなる。
3、本人の指図
当該代理行為が本人の指図に従ってなされた場合、本人は、みずから知っている事情または過失によって知らなかった事情につき、代理人の不知を主張することができない(101条2項)。 学説は例外的に、本人の主観的態様が代理行為の効力に影響を及ぼす場合について規定する101条2項の規定については拡張して解釈すべきだとする。この主張は、当該代理人の行為が本人の意思によって決定されればいいのであって、本人からの指図があったことまでは必要ないと解している。
また101条2項の場合には、ある事実の知・不知ということを規定して、代理人が錯誤に陥ったり、詐欺を受けて代理行為をしたような際でも、本人が真実または詐欺の事実を知っていて、代理人がこれによって代理行為をしないように規制することができるような場合についても本項の定めを類推適用することができる。<1500字>

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