論証集~行政法4~通達・許可・特許

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論証集  行政法総論

通達・許可・特許

●通達を契機として行われるようになった処分
それまで非課税物品として扱われていた物品について、通達を契機に課税対象物品と扱い、課税処分をすることは適法か。
このような課税処分は、通達のみを根拠とするものであり、租税法律主義(憲法84条)に反しないかが問題となる。
この点については、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものであるならば、たとえ当該通達を契機として行われるようになった課税処分であっても、当該課税処分は、通達による課税ではなく法律に基づく課税といえるので、租税法律主義に反しない。
しかしながら、ここで問題となるのは租税法律主義との関係だけではない。たとえ通達の内容が法の解釈として正しいものであったとしても、通達によって、成文法に基づく従来の慣行を変更することが許されるかという問題もある。
具体的には、①既に成立している慣習法に違反するのではないか、②それまでの慣行に従って処分がなされるであろうという信頼を害するのではないか、③法的安定性を害するのではないか、といった問題がある。
したがって、通達による課税処分が租税法律主義との関係では適法とされる場合であっても、慣習法違反、信頼保護の原則違反、法的安定性を害する等を理由に違法とされる場合があると考える。

●取消訴訟と通達(最判昭43・12・24)
異教徒であることだけ理由に埋葬を拒絶してはならない旨の通達が発せられた場合には、異教徒であることを理由に埋葬を拒み、それを理由とする不利益処分がなされるのを待って当該不利益処分の取消訴訟を提起することも考えられる。しかし、実際には、不利益処分がなされる前に墓地・埋葬法上の刑罰が科され得るため、常に不利益処分を待って争うことは妥当ではない。そこで、通達が発せられた段階で通達の適法性を争うことが考えられる。では、ツウ厚そのものの取消訴訟を提起することは適法か、通達に処分性が認められるかが問題となる。
取消訴訟の対象となる「処分」(行訴法3条2項)とは、公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。
この定義によれば、行政機関の行う行為について、①公権力性の有無、②国民の権利義務に対する直接かつ具体的な法効果の発生の有無という観点から、処分性の有無が判断されることになる。
これを通達についてみると、通達は、行政の一体性を保持する観点から発せられる命令であり、一般国民を直接拘束するものではない。つまり、通達が発せられたとしても、国民の権利義務に対する直接かつ具体的な法効果は生じない。
したがって、上記②の要件を満たさない。
よって、通達に処分性が認められないので、通達そのものの取消訴訟を提起することは違法である。

●許可と特許
講学上の行政行為のうち重要なものとして、許可と特許がある。
許可とは、本来だれでも享受できる個人の自由を、公共の福祉の観点からあらかじめ一般的に禁止しておき、個別の申請に基づいて停止を解除する行政行為をいう。
特許とは、行政庁が、私人の本来的な自由に属しない特権ないし特別の能力を私人に与える行政行為をいう。
許可と特許の区別は理論上のものにすぎないため、法律の文言においては様々な文言が用いられている。例えば、自動車運転「免許」は講学上の許可に当たるし、法文上「許可」であっても講学上の許可とは限らず特許である場合もある。
したがって、それがどのような行政行為に当たるのかについては、個々の法律の仕組みに照らし、個別的に解釈する必要がある。
許可制の下では、本来自由であるはずの行為が法令によって規制されているにすぎないため、許可を与えるかどうかについての行政庁の裁量の幅は狭いと考えるべきであり、また、許可を受けずに行った行為を法律上無効と扱う必然性はない。
他方、特許制の下では、特許の対象となる行為は私人が本来自由になし得る行為ではないため、特許を与えるかどうかについて行政庁には広い裁量が認められる。また、特許をうけずに行った行為は法律上無効とされるのが原則である。
したがって、ある行政行為が許可に当たるか特許に当たるかという点は、行政庁に認められる裁量の範囲、及びそれを受けずに行った行為の効力に影響することになる。

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