レポート集~行政法地方自治~地方自治の保障と地方公共団体の事務

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レポート集  地方自治

地方自治の保障と地方公共団体の事務について述べよ。

(1)地方自治の保障

旧憲法時代には、国民の権利義務に対する権力的規制は国の専掌する行政事務とされ、地方公共団体は各種の事業経営や公共施設の設置と運営を内容とする非権力的な公共事務のみを処理するものとされていた。したがって、自治事務の範囲が限られていたために、条例・規則で規定する事項も限定された。
これに対して現憲法は、地方自治の保障に関し、第8章で規定を設けられ、自治事務の範囲が拡大されると伴に、94条で「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する機能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる」として、地方公共団体の自治立法権においても、憲法上明示的に認めている。
地方公共団体は、地域社会の利害にかかわる公共的事務を自主的に処理し、住民の福祉増進を資する役割を担っている。地方自治法2条2項は 「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律またはこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する」と定めている。ここで「地域における事務」とは、地方公共団体が実施する地域の利害にかかわる公共的事務をいう。大半は、自治権に基づき実施される自治事務であるが、法的受託事務もある。
他方で 「その他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるもの」とは 「地域における事務」とはいえない事務で、法律またはこれに基づく政令により、特に地方公共団体に実施が義務づけられるものをいう。
(2)機関委任事務の廃止

1999年の地方自治法改正以前、地方公共団体の機関は、国または他の地方公共団体、その他の公共団体の機関として、機関委任事務を多く行ってきた。この機関委任事務は、委任した国または他の地方公共団体、その他の公共団体の事務であって、当該事務を実際に行う地方公共団体のものではなかった。
また、地方公共団体は、機関委任事務のほかに、当該地方公共団体自らの事務も行っており、これを自治事務と呼ぶ。改正前の自治事務については、公共事務・団体委任事務・行政事務の3つに分類されていた。
機関委任事務の制度は、国による地方行政支配の道具として利用される背景があったために、改正によってこれを廃止し、その事務を原則として受任者であった機関の所属する地方公共団体の事務として移管することになった。さらに、地方自治法における事務区分も見直され、旧2条2項における公共事務・団体委任事務・行政事務の3分類が廃止された。
(3)自治事務と法定受託事務

機関委任事務制度が廃止されて、地方公共団体の事務は従前とはまったく異なる観点から、自治事務と法定受託事務に再編成されることとなった。
自治事務とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう 地方自治法2章 。法定受託事務は、法律またはこれに基づく政令により都道府県、市町村または特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割にかかわるものであって、国においてその適正な処理を特に定めるものと、法律またはこれに基づく政令により市町村または特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割にかかわるものであって、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものをいう(2条)。
地方公共団体の事務は、地方自治法により、この自治事務と法定受託事務に分けられるが、両者とも地方公共団体の事務である点で違いはなく、法定受託事務についても、国の事務が委託された結果として、地方公共団体の事務になったと観念されるわけではない。<1500字>

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