論証集~憲法3~平等権

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平等権

「法の下」

法内容が不平等は、いかに平等に適用しても平等の保障は実現されず、個人の尊厳を害する。そこで、「法の下」とは、法適用のみならず、法内容の平等をも意味すると考える。

「平等」

人は生まれながらにして個体差がある。そこで、「平等」とは、事実的・実質的際を前提とした相対的平等を意味すると考える。したがって、社会通念上合理的である限り、その差別的取扱いは許される。

*最判平7・12・5→女性の再婚禁止期間の合理性
合理的な根拠に基づいて各人の法的取扱いに区別を設けることは憲法14条1項に違反するものではなく、民法733条の元来の立法趣旨が、父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解される以上、国会が民法733条を 改廃しないことが直ちに前示の例外的な場合(立法不作為の違法性の規範参照)に当たると解する余地のないことか明らかである。したがって、同条についての国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けるものではないというべきである。

**サラリーマン税金訴訟(最大判昭60・3・27)→所得税の不公平
14条1項は、すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない旨を明定している。この平等の保障は、憲法の最も基本的な原理の一つであって、課税権の行使を含む国のすべての統治行動に及ぶものである。しかしながら、国民各自には具体的に多くの事実上の差異が存するのであって、これらの差異を無視して均一の取扱いをすることは、かえって国民の間に不均衡をもたらすものであり、もとより14条1項の規定の趣旨とするところではない。すなわち、憲法の右規定は、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、合理的理由なくして差別することを禁止する趣旨であって、国民各自の事実上の差異に相応して法的取扱いを区別することは、その区別が合理性を有する限り、何ら右規定に違反するものではないのである。
思うに、租税は、今日では、国家の財政需要を充足するという本来の機能に加え、所得の再分配、資源の適正配分、景気の調整等の諸機能をも有しており、国民の租税負担を定めるについて、財政・経済・社会政策等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とするばかりでなく、課税要件等を定めるについて、極めて専門技術的な判断を必要とすることも明らかである。したがって、租税法の定立については、国家財政、社会経済、国民所得、国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的、技術的な判断にゆだねるほかはなく、裁判所は、基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないものというべきである。そうであるとすれば、租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は、その立法目的が正当なものであり、かつ、当該立法において具体的に採用された区別の態様が右目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り、その合理性を否定することができず、これを14条1項の規定に違反するものということはできないものと解するのが相当である。

「社会的身分」

自己の意思をもって離れることのできない固定した地位

違憲審査基準

後段列挙事由に該当する場合

後段の事由は、特に差別的取扱いが禁止されるべきものを列挙したものである。よって、当該列挙事由に該当する場合には、不合理な差別として違憲審査基準も厳格に解すべきである。具体的には、①目的が必要不可欠で、②手段が必要最小限度と認められる場合に限り合憲となると解する。

該当しない場合

後段の事由は、禁止されるべき差別のうち特に重要なものを列挙した過ぎない。
とすれば、後段の事由は例示列挙であり、これらに該当しない場合であっても、差別的取扱いは許されるべきではない。もっとも、列挙事由の場合と異なり、不合理性が推定されず、違憲審査基準は緩やかに解してよい。具体的には、①目的が重要で、②目的と手段との間に実質的関連性が認められる場合には、合憲となると解する。

アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)

アファーマティブ・アクションとは、社会的弱者を救済し、既存の社会的差別の是正を目的とする優遇措置をいうところ、歴史的沿革から不合理な取扱いを受けていた者の救済を含む。かかるアファーマティブ・アクションの趣旨からして、違憲審査基準を厳格に解すべきではない。そこで、①目的が正当で、②目的と手段との間に合理的関連性が認められる場合には、合憲となると解する。

議員定数不均衡

投票価値の平等

選挙権の平等(14、44)に、各投票が選挙の結果に対してもつ影響力の平等(投票価値の平等)も含まれるかが問題となる。
思うに、憲法が民主制を基本原理として公務員の選定罷免権を国民固有の権利として普通選挙を保障していること(15Ⅰ・Ⅱ)自体に、選挙区間における投票の価値の平等を要請する趣旨が含まれると解しうる。よって、選挙権の平等には、投票価値の平等まで含まれる。

投票価値の格差の具体的違憲判断

思うに、投票価値の平等は、表現の自由同様、民主制を支える重要な権利であり、価値に差が生じるべきではなく、その結果として選挙権も徹底した人格平等の原則を基礎としているため、投票価値の平等の意味は一般の平等原則のそれよりも形式的に解すべきである。
そこで、第一次的には、人口比率を基準とすべきである。もっとも、行政区画・面積の大小などの非人口的要素をも考慮する必要がある。それ故、1:1を厳格に貫くことはできないが、一人一票の原則からして、投票価値2:1の格差を限度とすべきである。

・参議院の場合の特殊性の減退
都道府県代表的要素は憲法に直接その地位を有さず、選挙制度決定に極めて重要な基準たる投票価値の平等に対比し、はるかに劣位の意義ないし重みしかない。情報伝達手段の進歩によって地域間の事情の相違が大幅に減少すると共に、選挙区選出議員の活動によらずして各地域の実情を知ることが容易となり、参議院選出の仕組みに都道府県的要素を加味する必要性が著しく縮小した。よって、投票価値の平等が著しく損なわれているところ、憲法上これを正当化する立法目的ないし理由をみいだすことはできない。

・地方議会
地方議会の議員定数配分については、公職選挙法で人口比例原則が採用されている(同法15Ⅶ)。

合理的期間論

人口は絶えず変動しており、人口の変動に合わせて直ちに定数配分を直すことは実際上困難であり、新たな選挙区を確定するには一定の時間が必要である。よって、仮に定数配分規定が違憲状態になっても、直ちに定数配分規定が違憲とされるわけではなく、定数是正に必要な合理的期間を経過しても是正がなされない場合に初めて違憲となる。

違憲判決の効力

違憲と判断された場合、かかる判決の範囲はどこまで及ぶか。
定数配分規定は、議員総数と関連させながら、複雑な考慮の下で決定され、相互に有機的に関連しているものであり、一部の選挙区でも違憲とされれば全体が違憲の瑕疵を帯びることになる。とすれば、規定全体が違憲になると解する。

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