論証集~刑法各論~猥褻罪

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論証集~刑法各論~猥褻罪

猥褻罪

わいせつ罪の保護法益

現行法上の解釈論としては、わいせつ罪は社会的法益に対する罪と捉えるべきであるから、その保護法益は、健全な性的風俗であると解する。
「わいせつ」とは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」をいう(判例)。

公然わいせつ罪

「公然」とはわいせつ行為を不特定多数人が認識できる状態をいう。

わいせつ物頒布等罪

1 「販売目的」の意義

ダビングして販売する意図でわいせつ物(マスターテープ)を所持している場合に、わいせつ物販売目的所持罪が成立するか。
この点、内容が原本と一致する複写物が容易かつ大量に作成しうることから、法益侵害性は高いとして、これを肯定する見解がある。

しかし、わいせつ物等販売目的所持罪は、わいせつ物販売罪の予備を処罰するものであるところ、複写物を販売する目的で原本を所持する行為を罰することは予備の予備を罰することになり、罪刑法定主義の観点から妥当でない。

よって、わいせつ物販売目的所持罪は成立しないと解する。

2 国外販売目的所持と「販売目的」

この点、予備を処罰する趣旨はわが国における健全な性風俗を維持することにあるから、日本国外で販売する目的では本罪は成立しない(判例)。

3 「わいせつ物」の意義

この点、わいせつな情報自体をわいせつ物と捉える見解もある。

しかし、「物」とは有体物を意味するし、情報をわいせつ物と捉えることは、公然わいせつ罪とわいせつ物頒布罪の境界を不明確とし、妥当でない。

よって、わいせつ物は有体物に限られると解する。

4 「公然と陳列した」の意義

思うに、わいせつ物公然陳列罪は、そのわいせつな内容が伝播することによって、その保護法益の侵害が発生する。

そこで、公然と陳列とは、わいせつ物のわいせつな内容を不特定多数人が認識しうる状態に置くことをいうと解する。

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