論証集~憲法~労働基本権

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労働基本権

内容

① 労働者の権利保護を目的とし、私人間に直接適用されるため、使用者は労働者の労働基本権行使を尊重すべき義務を負う

② 労働基本権を制約する立法その他の国家行為を国に対して禁止するという自由権的側面(労組法1条2項に定める争議行為の刑事免責が重要)

③ 国に対して労働基本権の保障措置を要求し、国はその施策を実施すべき義務を負うという社会権的側面

違憲審査基準

LRAの基準

①目的が重要で、

②より制限的でない他の手段の不存在の場合に限り合憲となる。

(労働者の生存を確保する権利としての重要性に鑑みて、ある程度厳格な審査が要請される)

ユニオン・ショップ

加入強制は結社に加入しない自由を含む21条1項に反するとも思えるため問題となる。

思うに、結社に加入しない自由は経済的弱者の地位にある労働者を団結によって使用者と対等の地位に立たせようとした28条の趣旨を没却する。よって、労働組合不参加の自由は保障されず、ユニオン・ショップ制自体は合憲と解する。もっとも、既存の組合に加入する自由、新組合結成の自由は28条によって保障されており、組合選択の自由は、これらと密接不可分である。したがって、脱退の自由を否定、ないし、他の組合の組合員の組織強制をすることまでは許されない。

最判昭43・12・4→労働組合の統制権と政治活動の自由

① 労働組合は、憲法第28条による労働者の団結権保障の効果として、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内においては、その組合員に対する統制権を有する。

② 立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、きわめて重要である。このような見地からいえば、15条1項には、被選挙権者、特にその立候補の自由について、直接には規定していないが、これもまた、同条同項の保障する重要な基本的人権の一つと解すべきである。

③ 労働組合が、地方議会議員の選挙にあたり、いわゆる統一候補を決定し、組合を挙げて選挙運動を推進している場合において、統一候補の選にもれた組合員が、組合の方針に反して立候補しようとするときは、これを断念するよう勧告または説得することは許されるが、その域を超えて、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に統制違反者として処分することは、組合の統制権の限界を超えるものとして許されない。

最判昭50・11・28→労働組合の政治活動と組合費納付義務

「ⅰ 労働組合員は、組合活動の経済的基礎をなす組合費を納付する義務を負うが、その協力義務は無制限ではない。労働組合は、労働者の経済的地位の向上を図ることを主たる目的とする団体であるから、組合員の協力義務も当然にこの目的達成のために必要な範囲に限られる。しかし今日、組合の活動は政治・社会・文化活動など広く組合員の生活利益の擁護と向上に直接間接に関係する事項にも及んでおり、これらを直ちに組合の目的の範囲外であるとはいえない。だが他方で、これによって組合の統制の範囲も拡大され、組合員の市民又は人間としての自由や権利と矛盾衝突する場合も拡大する。しかも今日の社会的条件の下では、労働者の組合脱退の自由も事実上大きな制約を受けていることを考えると、労働組合の活動として許されている活動だからといって、直ちにこれに対する組合員の協力義務を無条件で肯定することは、相当ではない。それゆえ、この点に関して格別の立法上の規制がない場合でも、問題とされている具体的な組合活動の内容・性質、組合員の協力の内容・程度・態様等を比較衡量し、多数決原理に基づく組合活動の実効性と組合員の基本的利益の調和という観点から、組合の統制力とその反面としての組合員の協力義務の範囲に合理的な限定を加えることが必要である。

ⅱ 政治意識高揚資金は特定の立候補者支援のためにその所属政党に寄付する資金であるが、どの政党または候補者を支持するかは、投票の自由と表裏をなすべきものとして、組合員各人が自主的に決定すべき事柄である。したがって、労働組合が組織として支持政党又はいわゆる統一候補を決定し、その選挙運動を推進すること自体は自由であるが、組合員に協力を強制することは許されず、その費用の負担についても同様に解すべきである。」

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