レポート集~租税論~租税原則

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レポート集~租税論

租税原則

現代における租税原則は、1984年に公刊されたアメリカ財務省の税制報告書によると、「公平の原則」「中立の原則」「簡素の原則」の3点であるとされている。

公平の原則は、負担能力に応じて租税負担が公平に分配されることとしている。この公平について、支払能力原則から考えると、所得の等しい人は同じ額の租税を支払うべきとする水平的公平、支払能力を異にする人々の間での租税負担の適正な配分は垂直的公平だとする。つまり課税の公平は平等者の平等な取り扱いと不平等者の不平等な取り扱いを内容としている。

中立の原則は、効率的な市場における経済上の決定に対する干渉を最小にし、資源分配を攪乱しないこととする。最後に、簡素の原則は、誰もが理解できなければならないとするものである。ここからは設問に従い、租税原則の1つである中立性の原則について説明したい。

中立性の原則とは、税制が個人や企業の経済活動における選択を歪めないようにすることであると説明できる。すなわち、税収の確保を意図し、租税を吸い上げる根源である市場を変化させず、企業や家計の消費行動に影響を与えないことを求めるものである。もし最適な資源配分が歪められれば、社会全体として厚生上に損失が発生する。この損失を超過負担という。

超過負担は、課税に惹起される歪みであるが、実際に民間が政府に対して支払う税額以上に追加的に負担が生じる場合もある。例えば、特定の財のみに税を課すと、消費者は他の非課税の財へ購入を移すかもしれない。また、企業でも清算や雇用において同じような変化が生じうる。中立性を維持するためには、この超過負担をいかに無くせられるかが問題とされる。

分業の発達した現代社会においては交換行為によって利益を享受している。つまり、財貨およびサービスを交換することによって、交換当事者たちが必ず利益を獲得するということになり、この交換による利益を余剰という。この余剰は、消費者と生産者双方に生じ、それぞれを消費者余剰と生産者余剰と呼んでいる。

消費者が財を購入するのは、便益が購入金額を上回るからである。つまり、限界効用が逓減する財によって得られる限界効用と、限界効用が一定である貨幣によって失われるとされる限界犠牲を比較し、犠牲より効用のほうが大きい限り交換は続けられる。すなわち、消費者余剰とは、消費者が支払っても良いと思っている価格と実際に支払う価格との差額を表すものである。

民間企業は利潤の極大化を実現しようとして生産費を投入し、できるかぎり大きな余剰を獲得しようと努力する。よって、生産者余剰は、生産者が実際に受け取ることのできる価格と販売してもよいと思っている価格との差額であると考えることができる。この生産余剰と消費者余剰を合わせると、国民経済の中で実現した総余剰となり、国民経済に対して税を掛ける場合、税によってこの余剰は小さくなる。

超過負担は価格が変化した際に需要がどれだけ敏感に反応するか(価格弾力性の大きさ)によって変化し、税率の2乗に比例し、価格弾力性に比例する。需要の価格弾力性が大きいほど、課税による超過負担は大きくなる。なお、需要の価格弾力性が小さい場合には、逆のことがいえる。

ところで、X財とY財があるときの消費税について考えたい。個別消費税がX財だけにかけられたとすると、相対価格が変化することになり、価格弾力性に引導されて超過負担が生じる。一方、X財とY財に対して同一の税率が課せられる一般消費税の場合には、相対価格は変化せず、超過負担も生じないことになる。したがって、中立性の原則から、個別消費税は一般消費税よりよろしくないことがわかる。

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