レポート集~行政学~官僚制

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レポート集~行政学

官僚制

今日の官僚制とは、ウェーバーによると6つの要素に集約される合理的な活動を意味している。すなわち、①成員の行動や組織運営を規定している規則の体系がある。②指揮・命令の系統がはっきりしている。③職務が分業化され専門分化している。④情緒を排除した没人格的な役割行動が求められる。⑤公私の区別が明確である。⑥文書化されたものをベースに仕事がなされる。の要素である。これに基づく官僚制においては、大量かつ複雑な業務を短時間に精確に処理する行政機構が形成される。

しかし、実際には、期待される機能とは反対に向かってしまうこともある。こうした、
望ましい方向に機能しないことを、逆の方向に作用するととらえて「逆機能」と呼ばれている。また官僚制には、一つの政治勢力を形成して権力化する側面や非能率的な業務体系を構成するなど、官僚制には全体的な病理が存在していることを意識しなくてはならない。すなわち、非難の言葉として使われる「官僚主義」には、先例踏襲、繁文縟礼、瑣末主義、事大主義、責任回避、尊大横柄などの事態が内包されている。

行政には公平無私の非人格的な事務処理が求められるが、それは法令の遵守が要請されることとなる。そこで官僚たる職員には規則を絶対視する意識が生まれる。法規にただただ従って執行し行動すれば、誤りもなく職務の処理が容易になるのである。ただ、こうした状況は、本来の目的を達成するよりも、法規を適用する手続きに重点が置かれるようになり、膨大な量の文書を作成し、保管することが負担となってしまいかねない。この現象を繁文縟礼といい、行政の非能率化を生んでいる。また、ダウンズの分析によると、上級権限者により公布された手続きの規則を厳格に適用することが、上司により誤りを非難され、「法令規則集」と矛盾した命令に従わなければならない事態を防ぐ手段として機能するのである。

さて、官僚制において、組織の階層性があると上位者の秩序維持が図れる。行政職員の中で身分的差別が生まれのである。これは、中央省庁でのキャリア組とノンキャリア組といった形で現れる。このような状況下で権威主義がかかわると、職員階層構造に事実上の欲求不満が生まれてしまう。こうした、屈折した感情が、組織内のみならず国民に対して発散されるとき、下位の職員階層間にも権威主義的な考えが広まってしまう。「役人」だということの特権意識となって表れ、国民に奉仕すべきはずの行政職員が国民に対して横暴な態度になりかねない。
行政職員が本来あるべき姿となるには、やはり特権意識を生み出さない構造が必要であろう。そのためには、組織内部での階層をなくすことと、政治家による法規・法令によって事務を行う、いわゆる政治家主導の行政が求められると考える。

また、官僚制の病理に行政のセクショナリズムがある。自己の部門の所掌事務を中心に考え、行動する現象である。部門組織間や省庁間に関わる職務については、相互に調整することに努めなければならないが、組織のエゴイズムによって実現しない。自己の組織に好都合の職務のみを取り込もうとし、そうでないと判断されるものは他に押し付けようとするたらい回しの態度をとるような事態が生じている。さらにセクショナリズムについては、中央の各省庁を頂点として、地方の出先機関、更には府県・市町村のような地方公共団体に至るまでつながる縦割行政も問題である。

こうした省庁や部門組織の縦割された体制は、国民ととって不利益が生じる事例が多い。セクショナリズムの弊害を打破することが急務の課題である。省庁や部門組織にまたがる業務を統一したり、各組織間の調整機能を果たすなんらかの組織を設置することが必要であると考える。

官僚制はウェーバーの指摘するような合理的な組織を形成することも成しうるだろう。しかし、現実は逆機能の方が目立っている。公務員制度改革に関する議論においても、現行のキャリア制度を見直す意見が強まっている。政治家は行政職員の利害にとらわれず、国民目線で制度整備に取り組むことが求められている。

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