学説判例研究~民訴~当事者適格

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当事者適格

1. 意義
訴訟物たる特定の権利又は法律関係について、当事者として訴訟を追行し、本案判決を求めることができる資格をいう。
訴訟追行権や正当な当事者ともいう。
原告の場合は原告適格、被告の場合は被告適格。

2. 類似概念との比較
1) 当事者能力との比較
ともに当事者となる資格についての判断。
しかし、当事者能力は一般的な資格。当事者適格は訴訟物に着目した資格。
2) 訴えの利益との比較
ともに紛争解決にとって必要かつ有効適切な訴えを選別する機能。
しかし、訴訟物という訴えの客対面で選別するのが訴えの利益。これに対して当事者という訴えの主体面で選別するのが当事者適格。

3. 当事者適格の判断基準
1) 給付の訴え
自己の給付請求権を主張する者に原告適格が認められる。そして、原告によってその義務者と主張されるものに被告適格が認められる。

2) 確認の訴え
確認の利益を有するものが原告適格者であり、その確認を必要ならしめているものが被告適格者である。

3) 形成の訴え
当事者適格者については、法文で定められている。

4. 第三者の訴訟担当
1)定義
実体法上の本来の利益帰属主体(本人)の代わりに、または本人に並んで、第三者が当事者適格を有する場合

担当者が当事者となって受けた判決の効力は、実質的利益の帰属主体(被担当者)にも及ぶ。(法115条1項2号)

2)訴訟上の代理との比較
代理の場合は、代理人が当事者なのではなく本人が当事者である。よって代理の場合は判決の効力を受けるのは、当事者としての本人であって代理人ということになる。

3)法定訴訟担当
第三者の訴訟担当のうち法律上当然に行われ、本人の意思に基づかないもの。

① 担当者のための法定訴訟担当
法律上、財産管理処分権能が権利義務主体から奪われ、第三者に与えられていることから、当該第三者に訴訟追行権がみとめられる場合
Ex.債権者代位訴訟(民法423条)、株主代表訴訟(会社法847条)

②権利義務の帰属主体のための法定訴訟担当
他人の財産について、包括的な管理財産権を与えられた財産管理人
Ex.破産管財人・遺言執行者・相続財産管理人など

訴訟要件の審理と本案判決との関係

1問題の所在
前提として本案判決の前提となる訴訟要件の審理と本案判決の審理は並行して行われている。その結果、訴訟要件の存否に先立って本案そのものに理由のないことが判明する場合がある。

2債権者代位訴訟における特質
債権者代位訴訟においては、当事者適格の存否不明のままにその審理を省略して、直ちに本案判決をすることは許されないと考えられている。

→代位債権者の当事者適格が否定されたときには、債務者に既判力を及ぼすに足りる手続保障が代替されているとはいえない。

→判決効拡張を正当化するためには、代位債権者に当事者適格が認められることが前提として要求されるはず。

4)任意的訴訟担当
第三者の訴訟担当のうち本来の権利義務の主体の意思に基づいて行われるもの。

任意的訴訟担当には、ⅰ法律の規定による任意的訴訟担当と、ⅱ法律の規定はなく解釈によって認められる任意的訴訟担当がある。