論証集~会社法~株式交換・株式移転

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株式交換・株式移転

意義
(1) 株式移転
既存の会社が株式移転のみによってその完全親会社を新設する制度。
(2) 株式交換
子会社となる会社の株式をすべて親会社となる会社に移転することにより既存の会社の他の会社の完全親会社となる制度。

株主名簿に記載のない原告の株式交換無効の訴え及び株主総会決議無効の訴えの原告適格

株主名簿に記載のない原告に株式交換無効の訴えの原告適格が認められるか。
会社法828条2項11号は、株式交換無効の訴えの提訴権者を、「当該行為の効力が生じた日において株式交換契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は株式交換契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは株式交換について承認をしなかった債権者」に限定しているところ、株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができないのであるから(会社法130条1項)、実質的な株主であっても株主名簿の書換えを行っていなければ、株主たることを会社に対抗することができない。それ故、株主としての原告適格を認めることもできないというべきである。
また、株主総会決議無効確認の訴えの原告適格も無制限ではなく、原告適格が認められるためには法律上の利害関係を有する必要がある。
したがって、株主であることを法律上の利害関係として主張する場合には、株主名簿の名義書換を行って株主たる地位を会社に対抗できることが必要となると解すべきである。
では、会社がその者が実質的株主であることを認識している場合も同様に認められないか。
会社がその者が実質的株主であることを認識している場合であっても、その者を株主として扱わなければならない義務を負うわけではない。
それ故、単に会社が実質的株主であることを認識しているというだけでは、名義書換なくして株主たる地位を会社に主張し得る根拠とはならない。
もっとも、会社が従前、当該名義書換未了株主を株主として認め、権利行使を容認してきたなどの特段の事情が認められる場合には、訴訟において会社が名義書換の欠缺を指摘して株主たる地位を争うことが、信義則に反して許されないと判断されることがあり得る。

(※名古屋地裁一宮支部H20.3.26)

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