学説判例研究~民法~レジュメ~相殺

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民法~レジュメ

相殺

債権者と債務者が相互に同種の債務を有する場合、いずれも一方的な意思表示によって双方の債務を対等額について消滅させること(505条1項本文)。

民法に定める相殺(505条以下)=一方当事者の意思表示によってなされる単独行為法定相殺

相殺は債権者と債務者双方の合意によって行うことができる=相殺契約 ⇒ 合意に基づく相殺は、法定相殺の要件に従う必要はない。また、双方の債権は同種である必要はない。


【要件】
(1)債権が対立していること
対立する債権はいずれも有効に存在していなければならない。
自働債権が時効で消滅した場合でも、その消滅前に相殺適状にあれば、その債権者は相殺できる(508条)。
除斥期間を経過して消滅した債権についても508条を類推して自働債権として相殺できる(最判昭51・3・4)

例外

・第三者が相手方に対して有する債権を自働債権として相殺できる場合
連帯債務者は、他の連帯債務者が債権者に対して有する債権を自働債権にできる(436条2項)。
保証人は主たる債務者が債権者に対して有する債権を自働債権にできる(457条2項)。
※436条2項と457条2項の解釈には有力な対立あり。

・相殺の相手方以外の者に対する債権を自働債権として相殺できる場合
事前の通知を怠って弁済した連帯債務者の他の連帯債務者に対する求償について、
求償を求められた他の連帯債務者は債権者に対する債権を自働債権にできる(443条1項)。
債権譲渡の場合、債務者は譲受人の請求に対し譲渡人に対する債権を自働債権にできる(468条2項)。

(2)双方の債権が同種の目的を有すること
目的が同種であればよいから、債権の発生原因が同一であることは必要でない。双方の債権の履行地が異なっていても相殺することができる(507条前段)。
→履行地が異なる為に相殺によって相手方に損害を与えた場合は、相殺者は損害賠償義務を負う(507後段)。

(3)双方の債権が弁済期にあること

(4)債権の性質が相殺を許すものであること

【相殺の禁止】
<当事者の意思表示による禁止
当事者が相殺できない旨の意思表示をした場合は、相殺をすることができない(505条2項本文)。
債権が契約によって発生する場合は両当事者の合意によって、債権が単独行為で発生する場合は、その単独行為によって相殺を禁止することができる。

法律による禁止
・受動債権が不法行為により生じた場合

・受働債権が差押禁止の債権である場合

・受働債権が支払の停止を受けた場合

【効果】
債権の消滅
相殺の意思表示がなされると、自働債権と受動債権はその対等額において消滅する(505条1項本文)。
自働債権と受動債権の一方または双方が複数あり、相殺によってそれら全部を消滅させることが出来ない時は、弁済の充当の規定が準用される(512条・488~491条)

相殺の遡及効
相殺の効果は、双方の債権が相殺適状になったときにさかのぼって生じる(506条2項)
相殺適状のときから利息は発生しなかったことになり、履行遅滞もなかったことになる