暗記ノート~刑訴~職務質問・逮捕勾留

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刑事訴訟暗記ノート

職務質問

職務質問に際して有形力の行使の限界

①職務質問は任意処分であるから(警職法2条3項)、強制手段を用いて停止・同行させることはできないが、強制に至らない程度の手段であれば有形力を用いて停止・同行させることは許される。

しかし、任意処分であっても権利・利益を侵害するから無制限に認められるのではなく、②職務質問の必要性と対象者の被った法益侵害の質・程度とを比較考量し、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容されると解すべきである。

所持品検査の限界

所持品検査は、口頭による職務質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果を上げるうえで必要性や有用性のある行為であり、職務質問(警職法2条1項)に付随する行為として認められる場合があると解すべきである。任意処分である職務質問の付随行為として許容されるものであるから、所持人の承諾を得て行うことが原則である。

ただし、行政警察の責務である犯罪の予防・鎮圧等の目的を軽視することはできず、所持人の承諾がない限り所持品検査は一切許容されないと解するのは妥当でない。

そこで、所持人の承諾が無くとも、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り所持品検査においても許容されると解すべきである。

もっとも、強制にわたらない行為が無制限に許容されるわけではなく、所持品検査の必要性・緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度においてのみ、許容されると解すべきである。

任意同行

はじめに、司法警察活動としての任意同行について刑事訴訟法上明文を欠いている。そこで、捜査手段としての任意同行が許されるか問題となる。

この点、真の同意による任意処分であるならば、禁止されるまでの必要はなく、捜査手段としての任意同行も任意捜査の一態様として許されるべきと解すべきである(197Ⅰ)。また、捜査手段としての任意同行が被疑者の取調べを目的とする場合には、出頭確保のための一態様として198条1項を根拠として認められると解すべきである。

よって、任意同行が真に被疑者の意思に基づくものであれば適法であるが、任意同行や同行後の滞留が逮捕と同一視できるような強制力が加えられる場合は実質的逮捕にあたる。
★捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容されるものであり(197但)、強制処分をするためには原則として令状が必要であるので、強制手段の有無を検討する必要がある。また、実質的逮捕にあたらず、任意処分であっても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそれがあるのであり、許容される範 囲が問題となる。

まず、強制手段を用いたかどうかは、被疑者の意思を制圧して身体・行動の自由という重要な法益を侵害したかどうかによって判断する。

(あてはめ)
同行・留め置きの際に強制手段を用いてないとしても、被疑者の権利・利益の制約を伴う場合には、任意同行・留め置きの必要性・緊急性と被疑者の被った法益侵害の質・程度を比較考量し、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容されると解すべきである。
(あてはめ)

接見交通権:接見指定

「捜査のために必要があるとき(39Ⅲ)」にあたるか。

文言が不明確なため問題となる。

接見交通権(39Ⅰ)は憲法34条の弁護人依頼権の内容をなすものであり、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならない。ゆえに、接見指定はあくまで必要やむを得ない例外的措置であり、「捜査のために必要があるとき」とは、捜査の中断による支障が顕著な場合をいうと解すべきである。

この「捜査の中断による支障が顕著な場合」とは、現に被疑者を取り調べ中である場合や実況見分や検証等に立ち合わせている場合、また、間近いときに取調べ等をする確実な予定があって、弁護人等の申し出に沿った接見等を認めたのでは予定どおり開始できない恐れがある場合などをいう。

☆「捜査のために必要があるとき」にあたるとしても、「被疑者の防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない(39Ⅲ但)」の要件を満たすか。

特に防衛上の必要が高い場合は、指定をせずに接見の機会を保障しなければならない。
①一回目の接見の申出の場合(百選37事件)、②長期にわたり接見の機会がなかった場合、③その他特に緊急に接見を必要とする事情がある場合などは、防御上の利益が捜査の必要を上回り、取調べ中などでも中止して接見を認めるのが妥当である。

逮捕勾留

二重勾留

身体拘束の期間が法定されている趣旨から、逮捕・勾留は1回しか許されないのが原則である。そこで、逮捕・勾留の効力の範囲は何を基準に判断すべきか問題となる。

この点、1人について同時に2回以上の身体拘束があることは不自然であり、逮捕・勾留の効力を被疑者を基準とする考えがある。

この考えによると、被疑者の身体拘束期間を長期化させないですむかもしれないが、逮捕・勾留の効力を被疑者単位に解することは、拘束原因を不明確にし、令状主義の理念を害する危険がある。

また、逮捕・勾留の手続きは、特定の事実を基礎になされることが予定されているから(203.205.207Ⅰ.60Ⅰ等)、逮捕・勾留の効力は、犯罪事実を基準とするのが妥当である。

したがって、二重勾留も認められる。

同一事件について時期を異にして逮捕・勾留を繰り返すことはできるか。

身体拘束の期間が法定されている趣旨から、原則として同一事件については1回の逮捕・拘留しか許されず、同一の犯罪事実については時期を異にしても逮捕・拘留は一回しか認められない。(本件~の被疑事実と~の被疑事実は、同一にあたり本件逮捕状請求は認められないのではないか。)

ここで、再逮捕・再拘留が禁止される同一の犯罪事実とは、両犯罪事実が実体法上の1罪か否かで判断されると考える。なぜなら、実体法上1罪とされる犯罪事実に発生する刑罰権は一つである以上、刑事訴訟法上も一つの単位として扱うべきだからである。

(あてはめ)本件は再逮捕・再拘留の禁止の原則に抵触する。

では、再逮捕・再拘留が認められる余地はないのか。刑事訴訟法は、199条3項で再逮捕を予定した規定を置いているから、例外的に再逮捕が認められる場合があるといえる。

また、逮捕は拘留を請求するか否かを判断するための仮の身体拘束期間であるから、再逮捕が認められる以上、それに引き続く再拘留も認められると解すべき。

ただし、再逮捕・再拘留は厳格な要件のもとに認められるべきである。

すなわち、①新証拠や逃亡・罪証隠滅のおそれなどの新事情の出現により、再捜査が必要であり、②犯罪の重大性その他諸般の事情から、被疑者の利益と対比してもやむを得ない場合であり、③逮捕の不当な蒸し返しといえないのであれば、例外的に認められると考える。

逮捕が違法な場合にその後の拘留は許されるか。

被疑者拘留の請求には逮捕が先行していなければならない(207Ⅰ)。捜査初期の犯罪の嫌疑や身体拘束が流動的な状況においては、拘留という長期の身体拘束の前に、比較的短期な身体拘束である逮捕を先行させてその間に捜査を行わせ、長期の身体拘束を慎重に行うためである。

では、逮捕が先行すればよく、逮捕の適法・違法は問われないのか。

この点、逮捕と拘留は別個独立の手続きであるとして、逮捕が違法であっても拘留の要件が満たされていれば拘留請求は認められると解する考えがある。

しかし、逮捕と拘留は異質な処分ではなく、いずれも身柄保全処分たる性格を有している。また、法は逮捕自体について不服申立てを認めていない(429条)。これは、逮捕における違法はすべて拘留請求の段階で一括して司法審査に服することを予定したものであると解すべきである。

よって、違法な逮捕を前提とする拘留請求は認められない。

別件逮捕

別件につき逮捕・勾留の要件を欠いていれば身体拘束が違法になるのは当然であるが、別件についても要件を満たしている場合も違法であるか。

重大な本件の取調べを目的として比較的軽微な別件で逮捕・勾留する手続きは、捜査機関が真に意図する本件について司法審査を経ていない点で令状主義(憲法33、199)を潜脱するものである。また、刑事訴訟法が拘束期間を厳格に制約していることにも反する。

よって、本件の取調べを目的としながら別件を理由としてなす逮捕・勾留は違法と解すべきである。

捜索差押

令状の特定性

☆差押え物の特定の程度(概括的記載)について

「差し押さえるべき物」の特定性が認められるためにはどの程度の記載があればよく、どの程度の概括的記載が許されるのか。

差し押さえるべき物の特定を要求した法の趣旨からは、できる限り具体的・個別的な記載が望ましい。しかし、捜索・差押えは犯罪捜査の初期に行われることが多く、捜査機関自体も捜索場所や差押物の詳細については把握し得ないのが通常である。

そこで、ある程度の包括的な記載も許されると解すべきである。もっとも、その場合でもできる限り特定を図るべきである。

すなわち、できる限り具体的な物件を例示し、その例示に準じるものを指すことが明らかである場合には、「その他本件に関係ある文章、物件」という記載方法も許されると解する。

☆罪名

刑事訴訟法219条は、捜索差押え令状に「罪名」の記載を要求しているが、特別法犯の場合において、法令名のみを記載することで足りるか。

この点、「地方公務員法違反」とのみ記された罪名の記載が争われた事件において、最高裁は罪名を記載するにあたっては、適用法条まで示す必要はないとした。

しかし、特別法犯であっても同一法令に多種の罰則が含まれている場合があり、これを個別化しなければ、憲法35条1項の「正当な理由」を示したとはいえない。

したがって、罰条まで記載すべきである。

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