論証集~刑法各論~盗品等に関する罪

論証集~刑法各論~盗品等に関する罪

この記事の所要時間: 455

盗品等に関する罪

本質

盗品等罪(256)の本質が問題となる。
この点、本罪は個人的法益に対する罪である以上、その本質はまず、被害者の追求権の侵害にあると解する。
とはいえ、256条2項の法定刑の重さに鑑みれば、その事後従犯的、本犯助長的性格が考慮されていることは明らかである。
そこで、本罪は、被害者の私法上の追求権侵害、および本犯の援助助長に本質がある。

主体

問題意識

教唆犯が盗品を買い受けた場合も盗品等罪が成立するか。
共同正犯の場合は不可罰的事後行為となるので問題となる。

論証

思うに、正犯と異なり教唆犯に過ぎない場合は、教唆犯の成立をもってその後の盗品の譲り受けといった違法行為が評価されているとはいえない。
よって、盗品等罪が成立すると解する。
本犯の共犯とは併合罪の関係になる。

客体

1 「盗品等」の意義①

「盗品等」といえるためには、被害者が返還請求権を有する必要はあるか。
この点、本罪の本質を追求権の侵害にあると解すれば、その「盗品等」は被害者が返還請求権を有するものでなければならないと解されよう。
しかし、256条2項の法定刑の重さに鑑み、本罪の本質は本犯を援助助長する点にあると解される。とすれば、「盗品等」といえるためには、被害者が返還請求権を有することを要しない。

2 「盗品等」の意義②

「盗品等」といえるためには、本犯に日本国刑法の適用があることを要するか。
この点、盗品等関与罪の国際的取締りの必要性からこれを否定する見解もある。
しかし、「盗品その他財産に対する罪」とはその文理上、日本国の刑法に該当する財産犯を意味する。よって、本犯に日本国刑法の適用があることを要すると解する。

盗品等運搬罪

被害者に対して代金を支払わせる目的で、盗品等を被害者に運搬する場合に、盗品等罪が成立するか。

思うに、本罪は、本犯を援助・助長する性格をも有するために重く処罰されるのであり、被害者の正常な(無償の)回復を困難にし、本犯を援助助長しうる以上、肯定すべきである。
よって、盗品等罪は成立する。(判例結論に同旨)

盗品等保管罪

盗品であることを保管中に気づき、その後も保管を継続した場合に、盗品等罪は成立するか。
この点、盗品等罪の処罰理由は、被害者の盗品等への追求が困難となり、かつ、本犯を援助助長する点にもある。
そして、知情後に保管を継続する行為も、本犯を援助助長するものといえる。
したがって、知情後の保管に、盗品等罪は成立すると解する。

盗品等有償処分斡旋罪

盗品等有償処分斡旋罪の既遂時期はいつか。

この点、本罪は、本犯を援助・助長する性格をも有するために重く処罰されるものである。
そして、斡旋行為の段階で、かかる援助助長の危険は認められる以上、その段階で既遂になると解する(判例)。

被害者に買戻しを斡旋した場合、盗品有償処分斡旋罪が成立するか。

詐取等の被害者を相手方とする場合であっても、盗品等の「有償の処分あっせん」にあたるか、被害者の利益になり、同罪の成立が否定されるとも思えるため問題となる。
この点、盗品等関与罪の本質は、追求権侵害のみならず、本犯助長的性格や利益関与的性格をも併せもつものと理解すべきである。

そうであれば、被害者等を相手として買取条件を交渉しこれを売却した行為は、被害者にとって法的に正常な盗品等の回復とはいえず、実質的に追求権を侵害していると評価できる。
また、詐欺罪等の犯罪を助長するという意味では、被害者以外の者に、買取をあっせんする場合と異なるところはない。

そうすると、同条項が被害者に対して盗品等の有償処分あっせんをおこなった場合を除外する趣旨であるとは解されない。

したがって、このような行為も「有償の処分のあっせん」に当たると解する。(判例結論に同旨)

盗品有償処分斡旋罪と詐欺罪

問題意識

斡旋行為を行うに際し、詐欺的行為が伴うのは当然の結果であり、別途詐欺罪を構成しないとも思えるため問題となる。

論証

思うに、盗品等罪は追求権保護にもあるのに対し、詐欺罪の本質は占有保護にある。
とすれば、第三者に対する占有侵害という法益侵害を別途観念しうる。
そして、詐欺罪は個別財産に対する罪であり、金銭交付自体がその運用の利益が害されており、損害があるといえる。

したがって、別途、詐欺罪が成立する。

そして、一行為によって斡旋と欺罔の結果を生ぜしめており、両罪は観念的競合となる。

親族間の特例

1 刑の免除の趣旨

同条は盗品等罪の犯人庇護的・事後従犯的側面に着目し、一定の関係にある親族が犯人を庇護しないとすることは期待可能性が少ないことから、一身的な刑の免除を定めたものである。

2 親族関係が必要な者

257条の親族関係は誰との間にあればよいのか。
この点、同条は盗品等罪の犯人庇護的・事後従犯的側面に着目し、一定の関係にある親族が犯人を庇護しないとすることは期待可能性が少ないことから、一身的な刑の免除を定めたものである。
かかる盗品等罪の性質に鑑みれば、親族間は盗品罪の犯人と本犯者との間に必要と解する(判例)。

3 親族関係の錯誤

この点、本特例は人的処罰阻却事由を規定したものであるから、故意の内容とはならず、故意の成立には影響しない。

4 盗品等関与罪の犯人相互に親族関係がある場合についての特例の適否

(a) 否定説(判例・通説)
この点、本罪の本犯助長的性格を考慮すれば、盗品関与行為は本来、本罪以外の領得罪を対象とするというべきである。

(b) 肯定説(有力説)
この点、親族の犯罪をかばうのはやむを得ないという本特例の趣旨は、盗品等関与罪の犯人相互間の場合にも同様に妥当する。
したがって、適用を認めるべきである。

フォローする