試験前暗記用レジュメ~刑法~盗品等に関する罪

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盗品等に関する罪

●盗品譲受け等罪(256条)

盗品譲受け等罪とは、財産罪によって奪われた財物に対する被害者の追求、回復を困難にする犯罪である。

<盗品譲受等罪の本質>

(1)追求権説とは、盗品譲受け等罪の本質を、本犯すなわち財産罪の被害者の盗品に対する追求を困難にする犯罪であると解する見解で、盗品譲受け等罪の保護法益は、被害者の物に対する追求権であると考えている。
(2)違法状態維持説とは、犯罪によって違法に成立せしめられた財産状態を維持・存続させることを内容とする犯罪であるとする見解である。
(3)利益関与説ないし収益説とは、本犯が得た不法な利益に関与する犯罪であるとする見解である。
(4)事後共犯説とは、本犯者の盗品利用を事後的に幇助する犯罪であるとする見解である。
(5)今日の判例・通説は主として追求権説を採りながら、これに違法状態維持説や利益関与説等も加えて理解している。

主体 本犯の正犯者と本犯の共同正犯者以外の者に限る。
客体は、盗品等財産罪たる犯罪行為によって取得された財物で、被害者が法律上追求できる物である。

この場合、
①権利は財物ではないから本罪の客体とはならない。

②本犯の犯罪行為は、構成要件に該当する違法なものであれば足りる。したがって、責任能力のない者が盗んできた物でも、本罪の客体となる。

③本犯の犯罪について、公訴時効が完成していても、また場所的に刑法の適用を受けないため有罪となしえない場合でも、その盗品等財産犯罪によって取得された財物は本罪の客体となる。

④本犯たる犯罪が既遂に達していることを要する。未遂の場合は本犯の共犯である。

⑤本罪の客体となる物は被害者が法律上追求しうるものであることを要する。民法192条によって第三者が所有権を即時取得したとき、その物の追求権は失われる。

⑥その物は、財産罪によって取得された財物そのものであることを要し、盗品を売却して得た金銭などは客体ではない。ただし、だまし取った小切手を換金したときは、その金銭は本罪の客体であるとするのが、通説・判例である。

⑦財物に加工がなされ、民法246条により加工者が所有権を取得すれば、もはや被害者の追求権は消滅する。

⑧不動産が本罪の客体となるか否かについては争いがある。否定説は、不動産の所在は移転できないことを根拠にするが、不動産が詐欺や恐喝の客体になりやすいことから、不動産であっても本罪の客体になり得るという見解の方が多数説である。ただし、運搬や保管の対象とはならないので、有償・無償の譲り受けと有償処分のあっせんの対象となるだけである。

行為は、無償の譲り受け、運搬、保管、有償の譲り受け、有償の処分のあっせんである。

(1)無償の譲り受けとは、財物を無償すなわちタダで取得することをいう。無償とは贈
与および無利息消費貸借によって交付を受けるなどである。
(2)運搬とは、財産犯罪によって取得された財物の所在を移転させることである。有償・無償を問わない。被害者宅への運搬行為であっても、それが被害者の利益のためにしたものではなく、窃盗犯人の利益のためにしたものであれば、盗品等運搬罪となるとするのが判例である。
(3)保管とは、委託を受けて財産犯罪によって取得された財物を本犯のために保管することであり、有償・無償を問わない。事情を知らずに保管していても、後に盗品だと知ってそのまま預かり続ければ、判例は保管罪の成立を認める。継続犯とみているからである。
(4)有償の譲り受けとは、財産犯罪によって取得された財物を有償に取得することをいう。有償に取得とは、売買、交換、債務弁済、利息付消費貸借契約などによる取得である。保管の場合と異なり、財物の引渡しの後に盗品であると知っても、引渡し時点で知らなければ有償譲受罪にはあたらない。
(5)有償の処分のあっせんとは、盗品等財産犯罪によって取得された財物の法律上の処分を媒介、周旋することである。法律上の処分とは、売買、交換、質入れなどを指し、有償の処分である。あっせんについては有償・無償を問わない。判例は、売買を仲介、周旋した事実があれば、あっせんがあったものとし、周旋による売買が成立したことまでは要しないとする。

盗品譲受け等罪の故意は、盗品であることの認識を要するが、未必的認識で足りる。また、その物が財産罪によって取得された物であることの認識があれば足り、それがどのような犯罪によって取得された物かについては、知ることを要しない。無償の譲受け・有償の譲受けは引渡で完了するが、運搬・保管は一定時間実行行為が続くので、途中で盗品等財産犯罪によって取得された財物だと気がつけば実行行為の時に故意があったとして犯罪が成立する。

<有償の処分あっせん罪と詐欺罪の関係>
盗品でないと偽って本犯者との間の売買契約を仲介し、買主から代金の交付を受けた場合、あっせん罪の他に詐欺罪が成立するか。盗品のあっせんという行為の特性を考えてみると、その情を知らない買主から代金を受取るのは有償の処分のあっせんの当然の結果であり、本来詐欺的な要素を含んでいるとみられる。このようなこの犯罪の特性からみて、別に詐欺罪を構成しないと考えるのが通説・判例である。

●親族等の間の犯罪に関する特例(257条)

盗品譲受け等罪にも、盗品譲受け等罪の犯人と本犯者の間に親族間の特例がある。つまり配偶者、直系親族、同居の親族これらの者の配偶者の間でこれらの罪を犯した者については刑が免除される。

親族間の特例の趣旨は、一定の親族関係にある者が、本犯者の利益に関与し、又は本犯者を人的に庇護(ひご)しようとし、あるいは本犯者の利益を助長しようとして、盗品等の利用・処分に関与することは、社会的にしばしばみられるところであり、情状において許すべきものである点に求められる。すなわち期待可能性が弱まることを考慮して置かれた人的処罰阻却事由である。

身分関係は誰と誰との間に存在すべきか。通説・判例は盗品譲受け等罪の犯人と本犯者との間に所定の身分関係があることを要するとしている。何故なら、一定の親族関係にある者が、本犯者の利益に関与したり、本犯者を庇護しようとしたりすることについて寛大であろうとする規定だからである。