試験前暗記用レジュメ~民法~特定物債権

試験前暗記用レジュメ~民法~特定物債権

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民法暗記レジュメ

試験前暗記用レジュメ~民法~種類債権・目的物の特定
民法暗記レジュメ 種類債権 意 義 ・種類債権→一定の種類に属する物の一定量の引渡しを目的とする債権(401条1項)→その目的物を種類物また...

特定物債権

意 義

・特定物債権→特定物の引渡しを目的とする債権(400条)。
・特定物→具体的な取引において,当事者が物の個性に着目して「この物」と定めて合意した物をいう→例えば絵画,土地,中古車などは通常特定物とされる。絵画はその作品しか存在しないし,土地は位置や形状によって価値が異なり,中古車は走行距離や傷みの程度がそれぞれ異なるので,当事者は取引に際してその個性に着目するのが通常と考えられるからである。
・特定物債権は,債権成立の時から特定物と定まっている場合だけでなく,種類債権や選択債権も目的物が特定した時から特定物債権と同様に扱われる。

善管注意義務

意 義

・特定物債権について,債務者は,引渡しをするまで善良な管理者の注意をもって目的物を保存(保管)しなければならない(400条)。
・「善良な管理者の注意」→「善管注意」といい,債務者と同じ職業や社会的経済的地位・立場にある標準的な人が払うべき注意→言い換えれば,債務者と同じ職業や社会的経済的地位・立場にある一般人の能力を基準とした注意。
・善良な管理者の注意を払うべき義務を善管注意義務といい,この注意義務が民法上要求される注意義務の原則→善管注意義務を怠ることを抽象的軽過失といい,これが民法の過失の原則。
・「自己の財産に対するのと同一の注意」(659条),「自己のためにするのと同一の注意」(827条),「固有財産におけるのと同一の注意」(918条1項)などと呼ばれる注意がある→人が自分の財産の保存に際して払う注意をいい,具体的な債務者の能力を基準とした注意→この注意を払うべき義務を怠ることを具体的軽過失という。注意義務の程度は,善管注意義務の方がこの注意義務よりも重い。

善管注意義務を負う時期

・債務者が善管注意義務を負う時期は,現実に引渡しをする時までである(400条)。他方,特定物の引渡しを目的とする債権については,「その引渡しをすべき時」(=債務の履行期)の現状で引き渡さなければならない(現状引渡しの原則)(483条)→これらの規定から,債務者は履行期の経過後であっても現実の引渡時まで善管注意義務を負い,そして,現実の引渡時における現状で引き渡せばよいと解されている(通説)。
・ただし,履行期後にも400条が適用されるのは,債務者の履行遅滞や債権者の受領遅滞でない場合(履行期に履行しないことが不可抗力に基づく場合や,債務者に留置権や同時履行の抗弁権などの履行遅滞を正当化する事由がある場合など)に限られる(通説)。
←履行期の徒過が債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)による場合(履行遅滞)→債務者の責任は加重され,債務者の帰責事由によらない目的物の滅失・損傷についても債務者は責任を負う。
←履行期の徒過が債権者の受領遅滞による場合には,債務者の注意義務は軽減される。

特定物の滅失・損傷

・債務者が善管注意義務に違反して目的物を滅失または損傷した場合には,これによって生じた損害を賠償する責任を負う(415条)。
・善管注意義務を尽くしたにもかかわらず目的物が滅失した場合には,債務者は引渡義務を免れ,目的物が損傷した場合にはそのまま引き渡せばよく(483条),いずれの場合にも損害を賠償する責任を負わない。

*給付危険と対価危険  上で述べたように,債務者が善管注意義務を尽くしたにもかかわらず目的物が滅失または損傷した場合,滅失または損傷による損失は債権者が負担する(滅失の場合であれば,債務者は引渡義務も損害賠償義務も免れるので,債権者は給付を受けられない)。このことを債権者が危険を負担するといい,この危険を「給付危険」という。これに対し,双務契約において一方の債務者の帰責事由によらないで目的物が滅失または損傷したり履行が不可能となった場合に,それが相手方の債務にどのような影響を与えるかが問題となるが,これを双務契約における危険負担の問題といい(534条~536条),そこでの危険を「対価危険」という。

目的物引渡義務

・特定物の引渡し→特定物の占有を移転することいい,現実の引渡し(182条1項)だけでなく,簡易の引渡し(182条2項),占有改定(183条),指図による占有移転(184条)も含む。
・引渡しには,占有だけを移転する場合のほかに(例えば使用貸借〔593条〕における借主の返還義務や賃貸借〔601条〕における貸主の引渡義務と借主の返還義務),占有とともに所有権を移転する場合もある(例えば贈与〔549条〕における贈与者の引渡義務や売買〔555条〕における売主の引渡義務)。
・特定物の引渡場所→別段の意思表示(特約)がなければ,債権の発生した時にその物が存在した場所である(484条)。

・特定物については,特定物売買における所有権移転時期,危険負担(534条~536条)、瑕疵担保責任(570条)などが問題となる。