学説判例研究~行政法~ノート~131-135事件

学説判例研究~行政法~ノート~131-135事件

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行政判例ノート 131~135

131:申請に対する応答の留保(1)
【最判昭和57年4月23日】

■論点
・長期にわたる処分の留保が国賠法1条1項に定める違法性を有するか否か

■事実の概要
不動産の賃貸、管理及び売買などを目的とする会社であるXは、A建設との間で建築工事請負契約を締結し、Aは、建築に必要な資材の搬入をB鉄筋およびC運輸に依頼した。ところが、現場へ資材を搬入するために用いる各車両が、道路法47条4項、車両制限令5条2項に定める基準に抵触するため、B・Cは、道路管理者Yに同令12条による特殊車両通行認定を申請し、受理された。
だが、なかなか認定されなかったため、何らかの行為をすることを求めて行政不服審査法に基づく異議申立てをした。するとYは、付近住民との話合いが円満解決し、工事が円滑に進められるようになるまで認定を留保する旨、通知した。そして、再度同旨の異議申立てがなされ、Yは認定手続きを行った。
そこで、Xが、何ら正当な理由なく5か月余りも認定を留保したのは違法であり、これにより損害を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づきYに対し損害賠償請求をした。
1審は、車両制限令12条の認定について裁量の余地はないとし、5ヶ月以上も認定を留保したのは形式上は違法であるとしながら、他方、Yは地方公共団体として、当該公共の秩序を維持すべき権限と責務を負っており、同令により認定を行うべき責務に優先させることはやむをえないもので、違法性が阻却される旨判示し、請求を棄却した。2審も控訴を棄却した。

■判旨
上告棄却。
「道路法47条4項の規定に基づく車両制限令12条所定の道路管理者の認定は、同令5条から7条までに規定する車両についての制限に関する基準に適合しないことが、車両の構造又は車両に積載する貨物が特殊であるためやむを得ないものであるかどうかの認定に過ぎず、車両の通行の禁止又は制限を解除する性格を有する許可(同法47条1項から3項まで、47条の2・1項)とは法的性格を異にし、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであることは、右法条の改正の経緯、規定の体裁及び罰則の有無等に照らし明らかであるが、他方右認定については条件を附することができること(同令12条但書)、右認定の制度の具体的効用が許可の制度のそれと比較してほとんど変わることがないことなどを勘案すると、右認定に当たって、具体的事案に応じ道路行政上、比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない。
これを本件についてみるのに、・・・Yの道路管理者としての権限を行う中野区長が本件認定申請に対して5ヶ月間認定を留保した理由は、・・反対する付近住民とX側との間で実力による衝突が起こる危険を将来するとの判断のもとにこの危険を回避するためということであり、・・結局、・・衝突の危険は回避されたと判断して本件認定に及んだというのである。右事実関係によれば、中野区長の本件認定留保は、その理由及び留保期間から見て前記行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまるものというべく、国家賠償法1条1項の定める違法性はないものといわなければならない。」

■解説
・本件の第1の争点は、法令の定める要件事実以外の事実を考慮した長期にわたる処分の留保が国賠法1条1項に定める違法性を有するか否かという点であり、その判断のために本判決は、まず裁量の余地があるかどうかを問題とし、その前提として車両制限令12条による認定の法的性質について言及する。

・道路法および車両制限令による通行制限には、一般的制限と個別的制限がある。同法47条1項および同令3条は、車両の幅や重量、高さや長さ等の諸元の一般的な最高限度を定め、これに抵触する車両は同法47条2項により道路の通行を禁止される・・・。一方、この一般的最高限度を超えない車両についても、同法47条4項および同令4~11条により、個別道路の状況に応じて必要とされる上記車両緒元の制限基準が定められている。・・本件で問題となったのは、後者の認定である。

・この認定行為の性質について本判決は、基本的には裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものであるとしながら、他方で、認定に条件を附することができることや認定制度の具体的な効用が前者の許可制度とほとんど変わらないことを勘案し、認定に当たって「具体的事案に応じ道路行政上比較衡量的判断を含む合理的な行政裁量を行使することが全く許容されないものと解するのは相当でない」とするので、認定を許可と確認の中間的性格を有する行為、あるいは許可に準ずるような行為と解しているようである。しかし、そもそも講学上の分類により許可か確認かを分け、後者ならば裁量の余地なしとする考え方は、今日では形式的過ぎるとの批判もあろう。

・上記の点と関連するが、本件は、従来の裁量論の中心である要件裁量・効果裁量に加え、処分をいつ行うかという「時の裁量」の問題を提起したものとしても評価される。・・この点につき本判決は、「その理由及び留保期間から見て・・行政裁量の行使として許容される範囲内にとどまる」としている。

132:申請に対する応答の留保(2)
【最判昭和60年7月16日】

■論点
・建築確認の申請において、行政が処分を留保したまま、行政指導を行うことは許されるか。

■事実の概要
Xは最初行政指導に従い住民と話し合いをしていたものの、東京都が地区案を発表した。そして、東京都Yは、地区案施行前だが、それに沿うように行政指導をした。
だが、Xは、Yに何らかの作為をするよう審査請求の申し立てを行い、行政指導には応じないとの意思表示をした。
もっとも、早くしないと地区案が施行されてしまう。そこで、Xは住民と金銭で解決し、審査請求を取り下げた。
その後Yは建築確認をしたところ、これに対しXは国賠訴訟を提起した。
1審は、Xの請求を棄却、2審は、審査請求により行政指導に従わないというXの意思が明示された以上、それ以降の確認処分の留保は違法として、Xの請求を一部認容した。

■判旨
上告棄却。
(ⅰ)「確認処分の留保は、建築主の任意の協力・服従のもとに行政指導が行われていることに基づく事実上の措置にとどまるものであるから、建築主において自己の申請に対する確認処分を留保されたままでの行政指導には応じられないとの意思を明確に表明している場合には、かかる建築主の明示の意思に反してその受忍を強いることは許されない筋合いのものであるといわなければならず、建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、当該建築主が受ける不利益と右行政指導の目的とする公益上の必要性とを比較衡量して、右行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは、違法であると解するのが相当である。」

(ⅱ)「いったん行政指導に応じて建築主と付近住民との間の話合いによる紛争解決をめざして協議が始められた場合でも、右協議の進行状況及び四囲の客観的状況に、建築主において建築主事に対し、確認処分を留保されたままでの行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明し、当該確認申請に対し確認処分の留保の措置を受忍せしめることの許されないことは前述のとおりであるから、それ以後の右行政指導を理由とする確認処分の留保は、違法となるものといわなければならない。」

(ⅲ)「(前述の行政指導にはもはや協力できないとの意思を真摯かつ明確に表明する)審査請求が提起された昭和48年3月1日以降の行政指導を理由とする確認処分の留保は違法というべきであり、これについては建築主事にも少なくとも過失の責があることを免れないものといわなければならない。」

■解説
・本判決は「品川区マンション事件」とも略称されるものであるが、いわゆる二重効果的(複効的)処分の性格を有する法廷処理期間の定めのある行政処分(建築確認)に先行してなされる利害調整型行政指導の実効性確保手段(申請に対する処分の留保)の法的限界を示したものであり、行政手続法33条の行政指導に関する実体的規定の基礎となった重要判例とされている。すなわち、本件マンションの建築確認処分は、建築主であるXにとっては利益となるものであるが、近隣住民にとっては当該マンションが日照阻害などの生活妨害をもたらす二重効果的処分としての性格を有し、当該処分をめぐって地域的な紛争が生ずるため、特定行政庁はその解消のため、しばしば建築主に対して行政指導を行い、法に規定のない近隣住民の同意書を要求したり、本件のような話合い協議による紛争解決を促すことがしばしば行われてきた。このような法定処理期間が定められた二重効果的処分を求める合法的な申請をめぐる紛争調整型行政指導の法的限界を示した点に、本判決の最も重要な意義を見出しうる。

133:納税申告と錯誤の主張
【最判昭和39年10月22日】

■論点
・納税申告の意思表示について、民法95条の適用があるか。

■事案の概要
Xは自己に所得がないのに所得があるものと誤解して確定申告をした。
そして、Xは、法律行為の要素に錯誤があるため無効である旨主張した。
1審・2審はともに、納税申告に錯誤があっても、私人の公法行為であるところにより直ちに民法95条を適用すべきではなく、所得税法の採る納税申告制度の趣旨等から判断しなければならないとした上で、1審は、所得税法は民法95条の適用を否定する趣旨であり、「納税義務者に不利益となり、しかも、その誤りであることが容易に認識しうる程度であって・・(法定の)修正手続を経るまでもない場合は」例外の余地が認められるが、本件の申告内容の誤りは容易に認識しうる程度のものはないとして、Xの請求を棄却した。

■判旨
上告棄却。
「所得税法が・・・、申告納税制度を採用し、確定申告書記載事項の過誤の是正につき特別の規定(修正申告および更正の請求)を設けた所以は、所得税の課税標準等の決定については最もその間の事情に通じている納税義務者自身の申告に基づくものとし、その過誤の是正は法律が特に定めた場合に限る建前とすることが、租税債務を可及的速やかに確定せしむべき国家財政上の要請に応ずるものであり、納税義務者に対しても過当な不利益を強いる虞れがないと認めたからに他ならない。従って、確定申告書の記載内容の過誤の是正については、その錯誤が客観的に明白かつ重大であって、前記所得税法の定めた方法以外にその是正を許さないならば
納税義務者の利益を著しく害すると認められる特段の事情がある場合でなければ、所論のように法定の方法によらないで記載内容の錯誤を主張することは、許されないものといわなければならない。」

■解説
・納税申告は、行政法学上、私人の公法行為の一例とされてきた。私人の公法行為とは、公の選挙における投票、直接請求(自治74条以下)、各種の届出、申請などをも含む、私人が公法関係においてなす行為の総称である。そして、この私人の公法行為にいかなる法が適用されるかについて感心がもたれ、とりわけ民法の規定の適用の有無とその範囲が論じられてきた(公務員の退職願の撤回につき、本書Ⅰ-136事件解説参照)。

・本件は、①納税申告に民法95条が(類推)適用されるかという問題とともに、②更生の請求によらずに申告が過大であることを主張できるかという問題を含む。(①については、下級審で判断が分かれていたが、)本判決は、このような対立に終止符を打つ判例史上の役割を有する。

・本判決は、「錯誤の主張が許されるかどうかは、究極的には立法政策に属する問題であるから、・・・行為者の過誤に対する救済が法律で特別に規定されているときは、・・・よろしく当該救済手段の設けられている趣旨・目的を勘案したうえでその成否および限度を決定すべきである」との考え方に立ったものと思われる。

・本判決は、②の問題につき、過大申告の主張は原則として更正の請求によるべきであるが、「錯誤が客観的に明白かつ重大であって(それ以外の)方法を許さなければ納税義務者の利益を著しく害する・・・特段の事情がある場合」には例外の余地が認められるとした。これは、申告者側からの申告が過大である旨の主張は専ら更正の請求によってのみ許されるという「更生の請求の排他性」を原則として肯定するとともに、その限界を抽象的に表現したものと解される。

134:第三者名義による申告納税
【最判昭和46年3月30日】

■論点
・第三者名義でした納税申告は有効か。

■事案の概要
本事件当時施行されていた物品税法によれば、同法別表に掲載された物品の種別ごとに定められた納税者が、物品税を申告納税することを義務付けられていた。被告人Xは、S社を設立してゴルフクラブ用バッグの製造販売業を営んでいたが、Sによる製造を中止し、実際にはXが製造販売の前工程を統括しているにもかかわらず、従業員や取引先が製造を行い、新たに設立したT社はAらから製品を仕入れ、もっぱら販売のみを行うかのように仮装した。具体的には、Aらが製造開始申告書を提出し、実際にTが製造移出販売した量よりも少ない量・金額を記載した内容虚偽の申告書を提出し、それに応じた物品税を納入する一方、Tは製造開始申告書を提出せず、T名義での物品税を納入することはなかった、このような事実に基づき、Xは物品税法44条1項1号に定める「偽りその他不正の行為により物品税を免れ」たものとして物品税逋脱罪に問われた。
1審は、Xを懲役8月および罰金250万円に処した。2審は、1審判決を破棄し、差し戻した。

■判旨
破棄差し戻し。
「(納税申告は)・・・私法関係と異なり、法的安定性、法律関係の明確性の要請が強く支配する租税法の下において、納税申告がこのように納税義務の確定という公法上の効果の発生をきたす要式行為であることに思い致せば、納税義務者本人が第三者名義でその納税申告をすることは、法の全く予定していないところであり、これが外観上一見して納税義務者本人の通称ないし別名と判断できるような場合でない限り、納税義務者本人の納税申告として、その納税義務の確定という公法上の効果は生じないものと解するのが相当であり、この納税義務の確定なくして有効な納付をなし得ないことは、論をまたないところである。」
「したがって、Xがした本件Aら三者名義の納税申告は、納税義務者たるTの納税申告として法的効果は生じないというべきであり、これに応じたその納付分もまた同会社の納付と目し得ないといわなければならない。」

■解説
・本件Xは、課税当局の調査の目を逃れるために第三者名義を利用して申告納税していたが、結局、実態としてXが代表を務めるT社が納税義務を負うものとされ、Tによる脱税と認定された。この意味では、T(ならびにX)の納税義務は、実質により判定されている。そこでXは、実質的には第三者の名義で納税していた旨主張して、違法性を軽減するためにも実質に着目するよう求めたものであるが、最高裁は、第三者名義での納税はXによる納税としての法効果を生じ得ないと判示したのである。

135:登録制度と廃業の届出
【最判昭和50年9月26日】

■論点
・公認会計士の登録抹消の効果が生じるのはいつか。

■事実の概要
Xは、公認会計士名簿に登録され、以来、公認会計士としての業務を行ってきた。
大蔵大臣は、Xが虚偽の監査証明を行ったとの理由により、Xに対する懲戒処分を行うための聴聞を昭和43年6月4日に実施した。
Xは昭和43年7月13日付けで、日本公認会計士協会に対し、業務廃止による登録抹消に関する届出書を提出し、同協会は、即日これを受理した。
その後、大蔵大臣は、公認会計士法30条1項に基づき、Xに対し登記抹消の懲戒処分をし、翌日Xにその通知をした。さらに協会もXの登録を抹消するとともに、廃業による登録の抹消はできない旨を決定したとXに通知し、Xからの上記届出書を返戻した。
これに対し、Xは遅くとも届出書が受理された昭和43年7月13日をもって公認会計士たる身分を喪失したのであるから、その後になされた懲戒処分はその対象を欠くものであって効力を生じないなどと主張し、登録抹消の懲戒処分の取消しを求めた。
1審は、Xの請求認容、2審は、1審判決取消し。最高裁は、2審の判断を正当として、上告を棄却した。

■判旨
上告棄却。
(ⅰ)「・・公認会計士となる資格を有する者は、登録を受けることにより、公認会計士の業務を適法に営む資格を取得するとともに、大蔵大臣及び協会に対してその監督を受ける関係に立つに至るのであって、公認会計士たる地位(身分)には、この二つの法的関係が互いに不可分ものとして含まれているのである。」

(ⅱ)「法は、公認会計士たる地位の喪失については、単に法21条において、公認会計士が、その業務を廃止したとき(1号)、死亡したとき(2号)、4号各号(欠格条項)の一に該当するに至ったとき(3号)、協会は、公認会計士の登録を抹消しなければならない旨を規定するにとどまり、具体的に何時その地位の喪失の効果が生ずるかについては、なんらの規定も設けていない。したがって、この点については、法規の合理的解釈によってこれを決するほかはないが、その解釈に当たっては、公認会計士たる地位の喪失が・・・公認会計士の業務を営む資格と大蔵大臣等の監督に服する関係との両者の消滅をもたらすものであることにかんがみ、法21条に掲げる各登録抹消事由ごとに、いかなる段階において地位消滅の効果が生ずると解するのが法の趣旨、目的に合致するかという見地から、個別的に考察し決定しなければならない。」

(ⅲ)「右の見地に立って法21条1号の場合について考えるのに、・・・公認会計士としての業務を営む資格という関係では、公認会計士がもはや業務を営む意思がないことを確定的かつ客観的に表明した時点において、その地位の喪失の効果を発生させても、なんらの不都合はない。しかし、公認会計士として大蔵大臣等の監督に服する関係については、直ちにこれと同一に論ずることができない。けだし、大蔵大臣による監督権のひとつである業務停止又は登録抹消の処分は、単に公認会計士としての処分を通じて当該被処分者が一定期間公認会計士となる資格を喪失させる効果をも生ぜしめるのであって(法4条5号、6号)、監督権の一内容としてこのような作用効果をも認めたのは、公認会計士の業務の公共性、社会的重要性にかんがみ、その公正の確保が強く要請されるためであり、このような大蔵大臣による監督関係は、公認会計士がもはやその業務遂行の意思がないことを明らかにした場合においても、直ちに当然にこれを保持すべき理由がなくなるというわけのものではないからである。」

(ⅳ)「それ故、公認会計士たる地位の喪失は、当然公認会計士が業務遂行の意思がなくなったことを明らかにし、かつ、監督機関において監督関係の保持の必要がないと認めたときにはじめて生ずるもの、すなわち法21条1号の規定についていえば、公認会計士がその業務を廃止した時ではなく、協会がこれに基づいて登録を抹消した時に生ずるものと解するのが、法の趣旨、目的に合致するものというべきである。」

■解説
・本件判決当時の法および規則によると、大蔵大臣による懲戒処分として登録抹消処分が行われたときは、協会は遅滞なく登録の抹消を行わなければならず、大蔵大臣の登録抹消処分を受けると、処分の日から3年間は公認会計士となることはできないこととされていた。Xは、かかる事態を回避するために懲戒処分に先立ち、業務廃止の届出を提出したものとみられる。当時は、懲戒手続開始の場合の登録抹消の制限規定(法21条の3。平成15年改正により新設)が存在しなかったため、公認会計士たる地位の喪失時期が争点となった。

・本件の場合における公認会計士の地位(身分)の取得は、公認会計士名簿への登録の法効果によるものであって、登録を受けることにより「公認会計士の業務を適法に営む資格」と「大蔵大臣及び協会に対してその監督を受ける関係」とが不可分のものおして成立するということになる。
したがって、その帰結として、登録の抹消については、必然的に公認会計士の地位(身分)の喪失をもたらすものとなる。それは、公認会計士の業務を営む資格の消滅であるとともに大蔵大臣及び協会の監督に服する地位からの離脱をもたらすものと解することができるのである。つまり、Xが主張するような、業務廃止の主観的意思と届出書の提出をもって直ちに公認会計士たる身分を喪失すると考えることは到底困難であり、むしろ、当該「届出書」の提出は、いわば登録抹消「申請書」の提出と同じ性質を持つものと考えて差し支えないと思われる。