学説判例研究~民訴~弁論主義の第1テーゼ

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学説判例研究

弁論主義の第1テーゼ(主張責任)

裁判所は証拠調べの結果ある事実が存在すると認定できる場合であっても、当事者がそれを口頭弁論において主張しない限り、裁判所はそれを裁判の基礎にすることができないことをいう。換言すれば証拠資料をもって訴訟資料に代替することは禁止される。

●訴訟資料と証拠資料の峻別

訴訟資料
→当事者の弁論(事実の主張と証拠の申出)から得られる裁判の資料(判決の基礎となりうる資料)。

証拠資料
→証拠調べの結果感得される内容。

裁判資料
→裁判の過程において得られた全資料(訴訟資料+証拠資料)。

●弁論主義の第1テーゼが適用される事実

弁論主義の第1テーゼの適用がある事実は主要事実に限られる。(通説)また、主要事実か否かは当該事件の訴訟物との関係によって決まる。

理由
訴訟において、権利義務存否の判断のための事実認定の対象となるのは主要事実であり、この主要事実存否の判断に対する関係では間接事実は証拠と同じ位置をしめることになる。そうだとすれば、証拠の評価で働く自由心証主義が間接事実存否の判断においても妥当してよく、ということは、裁判所は間接事実を、当事者の主張を待たないで自由に認定していいということになる。もし逆に、ここに当事者の主張を要するとすると、裁判所は当事者の主張がない場合には証言その他から判明している間接事実を利用することができなくなり、不自由・不自然な事実認定を強いられ、裁判官に自由心証主義を認めた趣旨に反するという結果になる。

●主張責任

弁論主義のもとでは、当事者は、自分に有利な主要事実を主張しておかないと、その事実は存在しないものとして扱われる(弁論主義の第1法理)という不利益を受けることになる。こうした不利益ないし危険を主張責任という。

●主張共通の原則

裁判所は、主張責任を負う当事者であろうと負わない当事者であろうと、およそ当事者によって主張されていれば、その主要事実を判決の基礎とすることができる。