学説判例研究~法学~慣習法の意義

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慣習法の意義

慣習法とは

近代国家においては、制定法(や国家法)が中心的なものとなり、慣習法はその補充的なものに過ぎなくなった。

慣習法は、商人仲間とか、村落団体で自然に生成した法規範
その仲間内では強い拘束力をもっている

その古来の慣習法は、制定法に取り入れられ、制定法に規定のない事項に関するものに限り、法律と同一の効力があるとされるにすぎなくなった(法例2条)

※整理すると、①制定法で認められたものと②制定法に規定のないもの。

具体例-典型

入会権

民法で効力を承認されている(263条.294条)。

判例での”法”解釈

H20.4.14 《慣習内容は構成員全員の同意が無くてもOK》
共有の性質を有する入会権に関する各地方の慣習の効力は、入会権の処分についても及び、入会集団の構成員全員の同意を要件としないで同処分を認める慣習であっても、公序良俗に反するなどその効力を否定すべき特段の事情が認められない限り、有効であるとした事例

H18.3.17《会員資格についての性差別は公序良俗違反》
入会部落の慣習に基づく入会集団の会則のうち、入会権者の資格を原則として男子孫に限定し同入会部落の部落民以外の男性と婚姻した女子孫は離婚して旧姓に復しない限り入会権者の資格を認めないとする部分につき民法90条の規定により無効とされた事例

具体例-判例

内縁

婚姻関係と同様の実態に即して、婚姻の効果を認めた判例。

婚姻費用の分担を認めたもの

最判昭和33・4・11

日常家事債務の連帯責任を認めたもの

東京地判昭和46年5月31日判時643号68頁
札幌地判昭和47年11月10日判時695号96頁など

財産関係につき762条の類推適用を認めたもの

福岡地判昭和30年9月29日下民6巻9号2058頁。

最判昭和42・2・21 民集21・1・155

「被相続人の死亡まで、内縁の妻は被相続人の賃借権を援用して居住できたのだから、被相続人の死後は、相続人に承継された賃借権を援用して居住を継続できる」

※ちなみに、海外では内縁関係をCommon-lawと呼ぶ地域がある。Common-lawとは、法の間、すなわち慣習法のことを言う。言葉遊びで訳していくと、内縁→コモンロー→慣習法となる。

譲渡担保

※物権法の大論点なので割愛

これら内縁関係・譲渡担保は、制定法が欠けているために慣習法が適用されたのだと言われる。

↓しかし、

内縁は、婚姻は届出によって効力を生ずるとする規定(民739条)から、判例とは逆に法的効力を否定することは、論理的に容易。

譲渡担保は、質権に目的物である動産を債務者が占有することの禁止(民345条)に違反すると考えることもできる。

↓したがって、

 制定法が欠けているとして慣習法の効力を認めるかどうかも、やはり法の解釈につながる問題。

制定法(成文法)改廃力

制定法と異なる慣習が広く行われるようになった場合、
制定法の効力は自然に消滅することになるか。

→慣習法の制定法改廃力の問題

制定法は長く適用されていなくても形としては存在しているから、裁判所はやはりその規定を基準として裁判しなければならない。

立法者が改廃しない限り適用を求めているとみられるため

↓しかし、

立法者が改廃を怠っている場合、裁判所は例外的にその適用を拒否することができる。

※この手法は、法解釈を弾力的に考えると、「法解釈の問題の1つ」となり、硬直に考えると、「慣習法の制定法の改廃力」という特別な問題として論じなければならなくなる。

参考文献

平野ほか『法哲学』(服部執筆部)
伊藤ほか『現代法学入門』
渡辺洋三『法とはなにか・新版』
永井和之編『法学入門』
五十嵐清編『法学入門』

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