学説判例研究~会社法~レジュメ~株式

学説判例研究~会社法~レジュメ~株式

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会社法レジュメ

株式

譲渡制限株式

公開会社と非公開会社
会社法2条5号によれば、公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社のことをいう。
したがって、非公開会社(公開会社でない会社)とは、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている株式会社のことをいう。

株主の責任はその株式引受価額を限度とする(株主有限責任。104条)ことから、会社財産の充実が特に求められ、これとの関係で株主には持分会社のような退社制度がない。したがって、投下資本回収可能性を確保するため、株式譲渡自由は原則となっている。
一方で、会社によっては株主相互の個人的な信頼関係を重視し、会社にとって好ましくない者が株主となることを防止したいというニーズが存在する。
そのため、投下資本回収手段を確保した上で、譲渡制限を例外的に認めている。

譲渡等承認請求を受けた会社は、承認機関が承認の有無を決し、2週間以内に請求者に通知する必要がある。期間内に通知しなければ承認したものとみなされる(139条、145条1号)。
譲渡等承認請求者が買取先指定請求(138条1号ハ・2号ハ)をしていなかったときは承認しない旨を通知すれば足りる。
買取先指定請求をしていた場合は、会社が自ら買い取るか(140条1項)、買取人を指定する必要がある(140条4項)。前者は40日以内、後者は10日以内に買取の通知をしなければならず、なされなければ譲渡が承認されたものとみなされる(141条1項、142条1項、145条2号3号、会社法施行規則26条1号2号)。

株主間で譲渡するときには会社の承認がなされたものとみなす定款規定を置くことは可能(107条2項1号ロ、108条2項4号)。従業員株主がその株式を譲渡するときのみ会社の承認を必要とする旨の定款規定を設けることも可能。譲渡制限を規定し、かつ従業員以外の株主による譲渡は承認したとみなす旨の規定を置けばよい。

承認機関を取締役会設置会社において株主総会とすることは可能である(139条1項但書)。ただし、公開会社においては適時に株主総会を開くことができない(開催まで最短でも2週間必要(299条1項)であるし、即時に開くのは株主全員の同意がいるので困難)ので、法は予定していないのではないか。代表取締役、監査役を承認機関とするのはできないと考えられる。委員会設置会社の取締役会は、執行役に譲渡承認を委任することができないので(416条4項1号)、その趣旨から委員会設置会社でない会社の代表取締役にも権限を与えることはできないと解する。それよりさらに下位の機関である監査役も承認機関とはできないと解する。

140条5項は、株主総会決議(取締役会設置会社では取締役会決議)により買取人を指定すると規定するが、但書で定款での別段の定めを許容しているので、可能である。

定款による株式の譲渡制限の目的は、会社にとって好ましくない者が株主になることを排除し、もって譲渡人以外の株主の利益を保護することが目的であるから、一人会社の株主がその保有株式を譲渡するときは保護の必要性はない以上、その譲渡は承認がなくとも会社に対して有効である。

株式を譲渡担保に提供することは、譲渡制限株式の「譲渡」にあたるから、会社の承認がない場合には、会社にとって好ましくないものが株主となることを防止するという譲渡制限の趣旨から、当事者間では有効だが会社との関係では無効である。
会社との関係でも有効とするには、譲渡担保設定時に承認機関の承認が必要となる。

協議が整わないときには、一定期間内(20日以内)に当事者が申立てすれば、裁判所が売買価格を決定することになる。(144条2項ないし4項、7項)。申立てがないときには、一株当たり純資産額に買取株式数を乗じた額が売買価格となる(144条5項)。
譲渡価格を決定する際に用いられる評価基準には、大きく分けて①インカム方式(収益方式)、②類似会社比準方式、③修正純資産方式の3つがあり、もっとも重視されるのはインカム方式である。②は類似他社の指標を用いる便宜的なものにすぎないし、③は継続企業の株式評価としては望ましくない。
インカム方式の中でDCF法、配当還元方式があり、百選20判例では、企業の支配者と少数株主では株式の価値が異なることから、DCF法及び配当還元方式(ゴードンモデル)を1:1で折衷したものを売買価格とした。

種類株式

①剰余金の配当・残余財産の分配につき内容の異なる株式(1項1号2号)
(→両方の権利全部を与えない種類株式の定款規定は無効(105条2項))
②議決権制限(1項3号)③譲渡制限(1項4号)④ 取得請求権(1項5号)⑤取得条項(1項6号)⑥全部取得条項(1項7号)⑦拒否権(1項8号)⑧取締役・監査役選解任権(1項9号)

議決権なし → 議決権制限(1項3号)、行使の条件(2項3号ロ)
配当は普通株式の125% → 剰余金の配当(1項1号)
普通株式への転換 → 取得条項(1項6号)
残余財産分配権 → 残余財産の分配(1項2号)
株式の併合又は分割、無償割当て → 株式の種類ごとに異なる取扱い

全部取得条項付種類株式について、取得対価の価額決定方法、全部取得の株主総会決議の条件があるときはその条件(108条2項7号)、及び発行可能種類株式総数を定款で定め(同条2項柱書)、全部取得するときには株主総会の特別決議によって取得対価の内容、その数又は額、取得日を定める(171条1項、309条2項3号)。
当該株主決議での反対株主及び議決権が行使できない株主は、裁判所に取得価格の決定の申立てができる(172条1項)。効力は取得日に発生する(173条)。

公開会社においては多数の投資家が株主となりうるから、経営者が議決権制限株式を利用して少額の出資で会社を支配することに歯止めをかけるため。

合弁会社やベンチャー企業などの場合に用いられ、出資額(株式数)に応じて役員を選解任できるように、あるいは出資額は少ないが経営の主導権を握りたい場合などに有用と考えられる。

共有株式

共同相続が開始されれば、株式は当然には分割せずに、相続分に応じた準共有関係が生じる(民法264条)。株式は単に金銭的価値のみを有するにすぎないものではなく、議決権などの会社の経営に関与する権利を含んだ会社に対する地位を表章するものであって、民法427条の適用がある可分給付を目的とする債権ではないこと、可分給付債権と同様に取り扱っても、端数については準共有を認めるほかないことから、準共有が認められている。

130条1項は株式の「譲渡」としているが、当該条文における「譲渡」には相続や合併等も含まれると解すべきである。株主名簿は日々変動しうる株主の権利行使を円滑に処理するための制度であって、変動事由は譲渡のみならず相続や合併等も含まれるからである。
したがって、名義書換をしなければ相続による株式の移転を会社に対抗できない(130条1項)。
共同相続人が名義書換を適法に請求してきたときは、会社はそれに応じなければならない。

106条の趣旨は、共有株式の権利行使を会社が円滑に処理できるよう、権利行使をする者を一人定めて会社に通知させ、もって統一的な権利行使を求めるものである。したがって、もっぱら会社の利益のための規定であるから、会社の同意によりこの規定を適用しない但書があると考えられる。

会社訴訟の提起は、株主としての地位に基づいて行われる以上、株式についての権利から除外する理由がないとして、会社訴権についても106条により権利行使者によってのみ行使できると解している。

株主総会の決議の無効確認および不存在確認の訴えについては、原告適格について会社法上の制約は存在せず、したがって確認訴訟の一般原則に従う。会社法上は誰にでも提起可能であり、確認の訴えの利益があればよい。

相続人の相続した譲渡制限株式を任意または強制的に取得することを認めているのは、譲渡制限株式の趣旨が、会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、株主の利益を保護することにあるところ、一般承継人が会社にとって好ましくない者であることがあり得るからである。
任意に取得する場合は、自己株式の取得の手続による。株主総会特別決議により取得株式数、対価の内容及びその総額、取得期間を定め、くわえて特定の株主から自己株式を取得することを決議する(156条1項)。会社は相続人たる当該株主に通知し(160条5項)、この通知を受けた株主が譲渡の申し込みをすれば株式会社が株式を取得することになる(159条)。
強制的に取得する場合には、売渡請求ができる旨を定款で定め(174条)、株主総会特別決議によって売渡請求をする株式の数、請求の相手方となる株主の氏名又は名称を定める(175条1項、309条2項3号)。会社はその決議に基づいて請求に係る株式の数を明らかにして請求する(176条)。売買価格の決定は協議、協議が整わなければ申立てにより裁判所により決定され、協議が調わず裁判所への申立てもないときは売渡請求の効力は失われる(177条)。