レジュメ~法学~法とは何か

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法とは何か

法は、公的・外的な強制を伴う行為規範であるという特質をもつ。

法と道徳の関係

1、法と道徳の意義・特質

道徳
人間の外面的な行為に関係

法は相手方に対する義務

法規範に従いさえすれば満足

人間の内面的な行為に関係

相手がいない片面的義務

義務感情を伴った動機に基づく事まで要求

2、法と道徳の区別

法は、規範内容に従うことを命令すると同時に、違反された時に加える制裁を定めるという二重構造になっている。Ex.殺人罪(刑法199条)

「もし人を殺したならば」という仮言命題と、「死刑又は無期懲役若しくは5年以上の懲役に処せられる」という法的効果を掲げる。

人を殺してはならないという「命令規範」と、その違反に対して一定の刑罰を科するという「制裁規範」を含むものである。

3、法と道徳の関係

>>法も人の内心の意思に関わりを持つことが少なくない。

・刑法では特別の規定を除き、故意のある場合のみが処罰の対象(38条1項)

・私法上の「善意」「悪意」の問題

>>法には特定の相手方ではなく社会一般に対する漠然とした義務もある。

・憲法25条2項の国の義務や、27条1項の勤労の義務など

道徳には大多数が守ることのできない規範をも取り込むことができる(強制力なし)。だがしかし、法は通常の人ならば守れるような内容のものでなければならない(強制力あり)。

当為の法則  現実と常に一致するとは限らない。

道徳は、この事実との距離がいかに離れてもよい。

法は道徳に比較して、事実との近接が要求される。

法の目的

法の機能は、社会の秩序を維持することにある。ゆえに法の目的は法定安定性を社会において確保することにある。また、正義を実現することも目的としている。

1、法定安定性

法の重要な機能である、「法秩序全体が安定し、それによって社会の安全が確保される」ために、つぎのような要請を満たさねばならない。

(イ)法は明確でなければならない

近代法が制定法を主体として構成されているのも、それが他の法形式にくらべ明確性の程度が高く、それだけ法的安定性に富むからである。

行為能力を事実上の個人の成熟に見るのでなく、一律に確定された成人年齢にかからせるのが妥当である。

(ロ)法はあまりにたやすく変更されてはならない

たとえその変更に合理的理由があっても、みだりに改正することは法の機能を害し、社会に混乱を生じさせる。

近代国家が権力を分立させて相互に抑止させていることや、議会制度が慎重な律法手続きを定めていることは法的安定性を制度的に保障している。

(ハ)法は実際に行われるものでなければならない

その内容がいかに優れていても、実際に行わなければ、社会秩序を維持する機能を果たせない。

(ニ)法は社会に生きる人々の意識と合致しなければならない

国民の意識とかけ離れた法は社会を規律することができず、安定した秩序を実現することができない。  ↓(以上のことから、法に特有の現象が現れる)

・事実として存在する状態が法の認める状態に転化。

・逆説的に、不法状態が適法化されることもある。

Ex. 民法上の占有の様な状態が適法かに関わらず法の保護を受ける。

時効制度によって、一定の時の経過が法に適合していない状態を適法にする。

誤った判決も既判力を与えられて拘束力を持つ。

革命も不成功に終われば犯罪になるが成功すれば新しい法の基礎となる。

2、正義

法は正義を実現することをも中心的な目的としている。

法が正義を目的から除外してしまうときには、むしろ純然たる実力の支配が残ることになり、法として妥当性を主張できなくなる。正義の理念を含んでこそ法は価値をみいだす。

(有力な2類型)

平均的正義 配分的正義
個人の相互間の給付と反対給付の均衡を得させ、人によって差別を認めない要求 個人がその能力や功績の差異に応じて異なる扱いを要求
売買において目的物と対価が等しく、労働と報酬が均衡を得、損害と賠償が相応すること。 租税の負担能力に応じて税額に差異を設け、功績によって段階的な栄誉を与えること。
形式的平等であって、人間の同位の秩序を主張し、私法の領域で実現される。 実質的平等で、社会生活における上下の秩序を樹立しようとし、公法の領域で妥当する正義。

3、正義の調整

正義論は結局、等しいものは等しく、等しくないものは差別して取り扱うことである。ただし、この両者をどう区別するかについては問題として残される。

正義の本質をつかむには、一定の世界観が働いてこざるをえない。ラートブルフ(Radbruch 1878~1949)は、3つの主要な形態の世界観をあげた。

個人主義 超個人主義 超人格主義
個人の利益や権利の擁護を重んずる 団体の固有の価値を中心におく
平和的正義に重点 配分的正義

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