レジュメ~法学~法の規範性、公法・私法の違い

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法学レジュメ

法が他の社会規範と区別される最大の特徴は何か。

法は行為規範である。この行為規範とは、当為の法則であり、人間の行為を規律するものである。すると、風習や道徳などといった法ではない社会規範も行為規範として存在しうる。では、法と他の社会規範とをどのように区別できるか。
この点について、区別のできる最大の特徴として、強制力の強弱を挙げることができる。すなわち、法は他の社会規範に比べて強制力が強い。法は、組織された力による最も厳しい義務付けを行う行為規範であるゆえ、各種行為規範のうちで、最も強制力を持つものであるということができる。(約230字)

伊藤正己=加藤一郎編『現代法学入門 4版』有斐閣双書、1章参照

公法・私法の違いは何か

公法と私法の違いについて、「公法は権力・服従の関係、すなわち不平等者間の関係を規律するものであり、これに対し私法は平等・対等の立場で結ばれた法律関係、すなわち平等者間の関係を規律する法律である」と説明する考えがある。しかしこの考えによると、伝統的に公法に属するものとされている、国家間を規律する法律としての国際法が、公法に入らないことになる。また、親子関係は必ずしも平等ではないから、家族法の一部は公法に属することになり、現実に即さない。
そこで、法の規律する法律関係の性質に着目しつつも、「国家統治権の発動に関する法を公法とし、そうでない法を私法である」と捉えるべきである。(約280字)

伊藤正己=加藤一郎編『現代法学入門 4版』有斐閣双書、3章参照

参考:公法・私法二元論の論証(行政法学)

公法・私法二元論とは、行政の分野は、権力の領域か非権力の領域かという本質的な性質の差異に基づいて、巨大な権力・権限を持つ行政と私人との関係にかかわる公法分野と私人の関係を規律する私法分野とに本来的に二分され、両者は異なった訴訟手続に服するだけでなく、実体法上も異なった解釈原理に従うとする考え方である。

公法・私法二元論は妥当か検討する。公法私法二元論によると、警察、収用、租税などの公法分野については、本来的に権力の領域に属する分野であるから、法律による授権なしに、行政に権力性や公益優先性があるとする。

しかし、国民主権(憲法前文、1条)を採用する日本国憲法の下では、権力の源は国民の意思を代表する国会に求められる。そのため、行政権は、法律により個別的具体的に授権された限度で、国民に優越するにすぎない。したがって、行政の権力性や公益優先性は、行政の本来的性質から導かれるのではなく、法律による授権から導かれると解する。よって、公法分野について、法律による授権なしに、権力性や公益優先性があるとする公法・私法二元論は妥当でない。

こちら↓のレジュメも要参照

学説判例研究~行政法~レジュメ~公法と私法の関係
行政法レジュメ 公法と私法の関係 伝統的学説(田中二郎) 「行政法とは行政の組織及び作用並びにその統制に関する国内公法である」(上p69-p83...