時事問題~国民審査対象裁判官の大法廷での意見

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第24回最高裁判所裁判官国民審査

平成29年10月22日執行

国民審査対象裁判官の大法廷での意見をまとめました。

対象裁判官7名

氏名 任命日 前職等
小池裕 66 H27.4.2 東大卒 司法修習29期
最高裁判所事務総局経理局長
東京高等裁判所長官
戸倉三郎 63 H29.3.14 一橋卒 司法修習34期
最高裁判所事務総長
東京高等裁判所長官
山口厚 64 H29.2.6 東大卒
大学教授(刑法)
・東京大学(法学部長,研究科長)
・早稲田大学大学院法務研究科
司法試験委員会委員長
菅野博之 66 H28.9.5 東北大卒 司法修習32期
最高裁判所調査官
大阪高等裁判所長官
大谷直人 65 H27.2.17 東大卒 司法修習29期
最高裁判所事務総長
大阪高等裁判所長官
木澤克之 66 H28.7.19 立教卒 司法修習29期
司法研修所民事弁護教官
東京弁護士会人事委員会委員長
学校法人加計学園監事
林 景一 66 H29.4.10 京大卒
外務省大臣官房長
内閣官房副長官補
英国駐箚特命全権大使

<小法廷配置>

第一 第二 第三
裁判官出身 小池裕
大谷直人
寺田逸郎
菅野博之
戸倉三郎
山崎敏充
弁護士出身 木澤克之
山口厚
鬼丸かおる 木内道祥
検察官出身 池上政幸 小貫芳信
行政官出身 山本庸幸 林景一
学者出身 岡部喜代子

※太字は、今回の審査対象者。

※山口厚は実際には学者だが、弁護士出身枠で任命されている。(大学学部時代に司法試験に合格(1974年)しており、2016年8月に弁護士登録をしている。)

大法廷における意見

審査対象者は太字で強調・意見の趣旨をピックアップ

意見に関する法の定め=裁判所法第11条

補足意見:多数意見に賛成であるが意見を補足
意見:多数意見と結論は同じで理由付けが異なる
反対意見:多数意見と異なる意見
追加反対意見:反対意見にさらに補足

最大判平成29年9月27日 平成28年参院選格差訴訟

平成28年7月の参院選で最大3・08倍の「一票の格差」が生じたのは憲法違反だとして出訴された訴訟

法廷意見(多数意見):「合憲」(22、25年の参院選時は「違憲状態」であったが、今回は「違憲状態」でも無い。)

反対意見付与裁判官:木内道祥,林景一,鬼丸かおる,山本庸幸

林景一裁判官の反対意見の趣旨

論点の捉え方として、憲法43条の「全国民の代表」に注目し、都道府県単位を採ることは憲法上の要請ではないことを強調した。そして、「選挙区割りが都道府県単位を基本とする場合にも,全国民の間の投票価値の平等という憲法上の原則と調和する,すなわちこの原則を大きく損なわないようなものでなければならない」と意見した。

今回審査対象の小池裕戸倉三郎大谷直人菅野博之山口厚木澤克之は個別意見なし。

最大判平成29年3月15日 無令状GPS捜査事件

令状なくして行われたGPS捜査は違法だと主張された事件

法廷意見(反対意見無し):「違法」(GPS捜査は、令状が必要な「強制捜査」にあたり、捜査は違法だった。)

補足意見付与裁判官:岡部喜代子,大谷剛彦,池上政幸(3者連名の意見)

今回審査対象の大谷直人菅野博之山口厚木澤克之は個別意見なし。

最大決平成28年12月19日

共同相続された預貯金は遺産分割の対象となるか争われた

法廷意見(反対意見無し):共同相続された普通預金債権,通常貯金債権及び定期貯金債権は,いずれも,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となる。※判例変更!

補足意見付与裁判官:岡部喜代子,大谷剛彦,小貫芳信,山崎敏充,小池裕木澤克之(大谷・小貫・山崎・小池・木澤5者連名),鬼丸かおる,木内道祥

意見付与裁判官:大橋正春

小池裕木澤克之の補足意見趣旨(連名)

判例変更によって「遺産分割の対象となるものとされた預貯金債権は,遺産分割までの間,共同相続人全員が共同して行使しなければならないこととなる」ので、「預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずる」問題があると指摘。したがって、「保全の必要性等保全処分が認められるための要件やその疎明の在り方を検討する必要があり,今後,家庭裁判所の実務において,その適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる」と意見。

今回審査対象の大谷直人菅野博之は個別意見なし。

 最大判平成27年12月16日 再婚禁止期間違憲訴訟

法廷意見(多数意見):民法733条1項の規定のうち100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は,平成20年当時において,憲法14条1項,24条2項に違反する

反対意見付与裁判官:山浦善樹

補足意見付与裁判官:櫻井龍子,千葉勝美,大谷剛彦,小貫芳信,山本庸幸,大谷直人(ここまで6者連名),千葉勝美,木内道祥

意見付与裁判官:鬼丸かおる

大谷直人裁判官の補足意見の趣旨(連名)

「再婚禁止による支障をできる限り少なくすべきとの観点から,上記100日の期間内であっても,女性が再婚をすることが禁止されない場合を認める余地が少なくないのではないか」と指摘。父性の推定の重複が生じ得ない場合などの具体例を挙げて、「本件規定の立法目的との関連において考えれば,100日以内部分の適用除外の事由に当たると解される場合は,民法733条2項に直接規定されている場合や従来の戸籍実務において認められてきた場合に限られるものではない」と意見。

今回審査対象の小池裕は個別意見なし。

 最大判平成27年12月16日 夫婦同姓違憲訴訟

法廷意見(多数意見):夫婦同姓を定める民法750条は,憲法13条、14条1項に、24条に違反しない。

<憲法24条について各意見が付された>

反対意見付与裁判官:山浦善樹

補足意見付与裁判官:寺田逸郎

意見付与裁判官:櫻井龍子,岡部喜代子,鬼丸かおる,木内道祥

今回審査対象の大谷直人小池裕は個別意見なし。

最大判平成27年11月25日 平成26年総選挙格差訴訟

法廷意見(多数意見):「違憲状態」であったが、「合理的期間」未経過(旧選挙区割りが違憲状態にあると認識し得たのは、平成23年判決の時点)のため「違憲」では無い。

(0増5減の措置の対象とされた県以外の都道府県について、定数の見直し及び1人別枠規定廃止後の区割基準に基づく再配分がされておらず、これを主な要因として投票価値の較差(当日有権者数の最大較差1対2.129)が生じ、較差2倍以上の選挙区も13存在したことなどに照らすと、全体として、新区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備が実現されていたとはいえない)

反対意見付与裁判官:鬼丸かおる,木内道祥

補足意見付与裁判官:千葉勝美

意見付与裁判官:櫻井龍子,池上政幸

今回審査対象の大谷直人小池裕は個別意見なし。

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