行政法学レジュメ~行政行為の職権取消・撤回

行政法学レジュメ~行政行為の職権取消・撤回

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行政行為の職権取消・撤回

行政行為の職権取消し

塩野p188~191

定義

「取消し」
→ 瑕疵ある行政行為によって成立した法律関係を元にもどすこと

行政行為の職権取消し
→ 成立時に瑕疵があった行政行為を行政庁が職権で取り消すこと

ex. 誤った業務停止命令を行政庁が自ら取り消す

職権取消しの根拠

法治国原理(塩野)や当然の事理(田中)

職権取消しの制限

行政庁の職権取消しは結構なことにようにも思えるが授益的処分の場合は問題になる

→ 処分の取消しには、「処分の帰責事由、取消しのもたらす具体的影響、信頼保護の程度、法制度の趣旨、不利益緩和措置の存在などを、事例に則して総合的に解釈する」ことが必要(大橋p192)

職権取消しの効果

行政行為の職権取消しは、行政行為に当初から瑕疵があったことを前提とするので、取消しの効果は遡及するというのが一般的

授益的行為の職権取消しは、将来に向かってのみ行政行為の効果が取り消されるとする余地がある

職権取消しは上級庁も可能(通説)

行政行為の撤回

塩野p191~196

定義

行政行為の撤回
「瑕疵なく成立した法律関係について、その後の事情により、その法律関係を存続させることが妥当でないということが生じた時、この法律関係を消滅させる行為」

【職権取消しと撤回の違い】

職権取消しは行政行為の成立時に瑕疵があったことを前提とするが、撤回は行政行為成立時には瑕疵がなかったが、その後の事情で行政行為を取り消したい時に行われる

ex. 医事犯罪を犯した医師の医師免許の取消し(医師法7条2項)、法律違反をした旅館業者の営業許可の取消し(旅館業法8条)

取消しにせよ撤回にせよ、許認可等を取り消す不利益処分や地位や資格を剥奪する不利益処分には、行政手続法の聴聞手続を経る必要がある(行政手続法13条)

法律関係を形成しない処分には撤回の余地がない
ex. 退学処分 → 退学の時点で法律関係が消滅し、もう戻せない。「復学処分」が必要

撤回と法律の根拠

撤回に法律の根拠は必要か

①不要説(通説・判例)
②必要性(少数説) → 撤回も侵害処分だから
不要説(塩野)の説明
→ 撤回は私人の申請にもとづく授益処分で生じた法律関係を消滅させようとするものである。これは許可制・免許制といった法的仕組みの一部であり、このような場合、法律関係を消滅させるために、個別の法律の根拠が必要とは当然にはならない。免許・許可などの授権法律で足りる

撤回権の制限

法律関係が生じた後、何の理由もないのに私人の不利益に消滅させることは許されない

撤回の可否は、当該行政行為の性質、有効期間の有無、有効期間の意味、撤回の公益、第三者の利益の保護の必要性を考慮して解釈される

法律に「XXのときは、許可を取り消すことができる」という条項がある場合、それが必要的取消し(取り消さなければならない)か、裁量的取消し(行政機関に判断に委ねる)かの解釈が問題になるが、必要的取消権の制度の存在は、限定的に解される

期限を定めて許可が与えられた場合には、期間内はその地位を保障するという趣旨なので、法律の根拠なくしては撤回できないと解するべき
撤回は上級庁はなしえない、監督庁は監督として撤回を命じることができるだけ(通説)

撤回に損失補償が必要な場合がある

撤回は将来にわたって効力を発する

その他の行政行為の効力の消滅事由塩野

p197~198

①期限の到来: 期限が設定されている行政行為は、期限の到来によって効力が消滅する
ex. 運転免許は、期間の経過により効力を失う(道路交通法92条の2)

②相手方の事情 : 国家公務員法に定める欠格事由(ex. 国家公務員法38条2号、禁固以上の刑に処せられたもの)に後から該当すると、国家公務員は当然失職となる(国家公務員法76条)

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